はじめに

それでも狙い目の理由は何か?

まず理由その1ですが、前述したFCVのデメリット、特にインフラ整備に関しては徐々に加速しているのが現実です。

2020年5月の段階で稼働している水素ステーションは130箇所、116基でしたが、2020年度中にはこれを157箇所、143基まで、さらに2030年度中には一気に900箇所程度まで拡大予定です。

9今となってはそれほど奇抜には感じないインパネ回りです

実際、先日東名高速御殿場インターチェンジ近くにも水素ステーションが建設されていました。ちょっとしたことですが、高速道路などの近くにインフラが出来ることは周辺の住民だけでなく、今後観光事業が復旧してきた後にも効果的と考えます。

理由その2は意外と知られていない充填時間の短さと走行可能距離の長さです。

冒頭にFCVも電動車両の一部、と触れましたが、電動車両と聞いてイメージするのがBEV(バッテリーのみで動く電気自動車)ではないでしょうか。BEV自体のメリットは数多くありますが、BEVの場合、急速充電器の能力によるとはいえ、約80%を充電するのに約30分かかります。また一番売れている日産リーフの場合、最も航続距離の長い「e+(62kWhバッテリー搭載車)」はJC08モードで570kmの航続距離を実現していますが、この場合充電時間は約60分かかります。

しかしミライの場合は充填時間はわずか3分強で完了します。これも前述しましたが、充填には国家資格をもった作業担当者が行うのですが、現在セルフでの充填を可能にするための実証試験も開始されています。また営業時間も従来の17時閉店から徐々に拡大しており、前述した芝公園にある水素ステーションも現在は21時まで延長、今後も拡大傾向にあると言えます。

そして航続距離に関しても筆者が一時期試乗する機会が多かった時の記録としては満充填でエアコンは常時オン、2~4名乗車で550~570kmは走ることができました。

正直燃料代に関しては深夜電力を使えば圧倒的にBEV(電気代)の方が現状は安いはずです。ざっくりですが、現在の水素の価格は経済産業省の試算ではハイオクガソリンとほぼ同等レベルです。しかし、インフラ整備と同時に水素そのものの価格を最終的には三分の一程度まで下げる考えも出ています。

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