はじめに
日頃の態度や振る舞いが未来の価格交渉に影響する
――交渉を有利に進めるカード……。どういうことですか?
すぐに答えるのも面白くないので、ヒントを言いましょう。最後の電話がきたとき、業者さんはこう言いました。「束田さんはリピーターなので、500万円でOKです」と。実はこれが、私のカードが効いていた証拠なんです。
――分かるような、分からないような。素直に正解を教えてください(笑)
簡単に言えば、業者さんからの信頼です。それは今までの購入実績で培ったものです。私はその業者さんと既に取引をしていて、ローンを使わず現金で物件を購入していた。これは前回も話しましたね。業者さんにとって、現金で買ってもらえるのはメリットなんです。ローンは審査に時間がかかりますし、仮に審査に落ちれば商談も立ち消えますから。
もうひとつ、私は購入した物件についてほとんどクレームや文句を言わずにきました。自分で言うのもなんですが、業者さんにとって優良顧客なんです。文句も言わず手もかからない、現況(物件のそのままの状態)を受け入れ、現金で支払ってくれるのですから。
――束田さんが優良顧客であることが、価格交渉を有利に進めたという意味ですかね?
はい。業者さんが私を「優良顧客」と見ている確信があるわけです。すると、当然こちらは強気に価格交渉できますよね。取引のない客に売って後日揉める可能性があるなら、多少安くても現金でサクッと馴染みの客に買ってもらう方がリスクは低い。そう考えるのが自然です。
――確かに。それをふまえての500万円という希望価格だったのですか?
ですね。トランプでいえば、私は非常に強いカードを最初から持っていたんですね。これが初めてやり取りする業者さんだったら違ったかもしれません。それよりも大切なのは、普段の物件購入や業者さんへの態度が、次の価格交渉に影響してくるということです。
――なるほど。日頃の行いが大切……ということですかね。
日頃の態度が影響しますし、むしろそれを見越して、普段から業者さんにクレームを言わず、現金でサクッと購入している面もありますよね。業者さんとのやりとり1つ1つが、未来の価格交渉に効くのです。これも大きなポイントでしょう
――そういうことですね。不動産に限らず、いろいろな場面の価格交渉に通じそうなお話でした。ありがとうございました!