はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。
はじめて質問させていただきます。新婚、30代後半の男性です。手取りは60万円程度です。結婚前から株式、投資信託を購入しましたが、なかなか芽が出ません。
現在、総資産は1,850万程度ですが、評価損が900万以上(株600万・投資信託350万)あります。株の大半はソーシャルゲーム銘柄やバイオ株、投資信託は金に投資するファンドです。自由に動かせるお金は250万程度です。
今すぐに株や投資信託を動かすつもりはありませんが、このまま持っておいて、いつか上昇すると期待して保有し続けるか、大きな損切りをするか悩んでいます。ちなみにこれ以上は購入予定はありません。細々した相談ですが、もしよろしければアドバイスをお願いします。
(30代後半 既婚・子供なし 男性)
内藤: 質問者の方の資産運用方法や投資期間については、正確にわかりませんが30%以上のマイナスという運用結果は、改善の余地がかなりあると思われます。改善のための具体的な手順をご案内いたしましょう。
現時点での損失は、あくまで過去の変動による結果
まず、現状把握です。投資信託や株式について、相談者の方が現在保有している銘柄をすべて洗い出してみましょう。
保有している銘柄、購入金額、時価、損益といった数値を一覧にしていきましょう。また、それぞれの商品がどんな投資対象になっているのかもチェックしておきます。
次にやるべきことは、それらの銘柄について、保有し続けるのがよいか、それとも売却して損切り、あるいは利食いするのがよいかの判断です。
ここで間違えてはいけないことは、今後の判断の基準として、現状、「評価損なのか」「評価益なのか」は関係ないということです。現時点での利益・損失というのは、あくまで過去の価格の変動による現時点での結果です。
個別銘柄の株式投資から投資信託にスイッチ
考えなければいけないことは、これからその株式や投資信託を保有していてリターンが実現できるかどうかです。
もし、その銘柄を今持っていなかったと仮定して、投資したいと思うのであれば保有する。投資したいと思わないのであれば、いくらで買ったかに関係なく売却していくことです。
株式投資の個別の銘柄選択でインデックスを上回るリターンを実現するのは、プロでも簡単ではありません。株式の銘柄選択に自信がないのであれば、個別銘柄についてはすべて一旦売却してしまい、投資信託にスイッチしてしまいましょう。
投資信託に関しても、アクティブ型の商品であれば、同じ投資対象のインデックスファンドと比較して、どのくらいの運用成績なのかを調べます。また、販売手数料や信託報酬といったコストもすべて調べていきます。
コストに見合った運用成績が実現できないのであれば、インデックスファンドに切り替えて、インデックスと同じ運用成果を低コストの商品を使って実践するのがよいでしょう。
運用成績が上がらない最大の理由
質問者の方の運用成績が上がらない最大の理由は、銘柄選択に時間をかけ過ぎていることだと思います。資産配分よりも銘柄選択にウエイトがかかっていて、リスクが日本株式などの特定の資産に偏っていることが原因です。
どの銘柄に投資するかよりも、まずどの資産の種類に何%くらい配分するかという「アセットアロケーション」から資産運用を見直してみてください。
手前味噌になりますが、アセットアロケーションについては、私が書いた「内藤忍の資産設計塾【第3版】」が参考になると思います。抜本的な改善を早急に進めてください。