はじめに
“春一番”の時期と株価の関係は?
春一番と株価の間にはもう1つ重要な関係があります。それは例年に比べて、春一番が早かったり、遅かったりすると、春の季節中(3~5月)が株高になりやすいという傾向です。
結果から紹介しましょう。
過去、“春一番”が2月15日までの早い時期に吹いた年の、3~5月の日経平均株価は、平均して4.06%と上昇しました。
これは早い春の訪れで、投資家の気持ちが前向きになり易いという行動経済学の観点が理由にあるでしょう。それに実態経済の点からも説明できます。春物の消費が早めに始まり、これが景気をけん引して株高につながるということです。
例えば、衣料品業界。春物の販売は主に2月から3月の初めにかけてですから、春の訪れとともに人々の購入意欲が早めにスタートすることにつながるでしょう。また、暖かい日が増えてくると、外に出かけたくなる人も増えてきます。そうなれば、外食や買い物など消費も活発になります。
一方で、3月3日のひな祭りの後に春一番が吹く遅い年の春も、結果をみると+4.05%の株高でした。今回検証した騰落率の集計期間は3月から5月までです。長い冬が終わり、3月ようやく訪れた春一番に、人々の気持ちが大きく前向きになったことが理由かもしれません。
ちょっと複雑な関係にはなりますが、整理してみましょう。結論は、春一番は2月15日までに吹くか、そうでなければ、3月3日のひな祭り後に吹いた方が株式市場にポジティブな傾向となります。
10都府県では3月7日まで緊急事態宣言が延長されました。新型コロナ関連ではストレスになるニュースも多いですが、春の訪れで前向きな気持ちを期待したいところです。