はじめに
長年、株式投資の世界にいますが、失敗をしない人はいません。投資に失敗はつきものです。それならば、失敗を肥やしにして次に進む方法を考えてみましょう。「覆水盆に返らず」という言葉通り、取り返せない失敗、やり直せない失敗もありますが、大きな失敗を避ける方法はあります。
今回は、株式投資の失敗をカバーする方法を考えてみます。
減るリスクをどう考えるか
株式投資に二の足を踏んでいる人は、株式を買うと資金が減るということを嫌気されているのだと思います。銀行預金は大きく増えませんが、減ることもありません。増やすことを犠牲にし、減るリスクを避けているのです。逆に言えば、減るというリスクを取れば増やすことができます。
よく出される例題として、「今100万円を手にすることができる」ことと、「来週、120万円か80万円のどちらかを手にすることができる」ことのどちらを選択するか、というものがあります。何もコストがかからないのであれば、後者を選ぶ人が多いはずです。ただ、「95万円を支払って」という条件を付けた場合には圧倒的に「今100万円もらう」という人が多くなるのです。
投資はまさに、「95万円支払って、120万円手にするのか、80万円になってしまうか」という行為です。ですから、「80万円になっても構わない」あるいは「80万円になっても、20万円分のお饅頭が手に入るからいい!」という方法にすれば、安心して投資ができるのではないかと思います。
株価の値下がりをカバーする方法
つまり、投資資金が減ることをカバーできる何かを持った企業に投資をすることです。投資で失敗をしないことは、つまり投資資金が増えるということです。株価の値下がりを避けることが一番ですが、値下がりが避けられないのであれば、違う部分で値下がりをカバーすればよいのです。
例えば、自動車や家電など耐久消費財を購入するケースを考えてください。自動車を購入し、数年経ってから売却しようと思うと、たいていの場合が購入金額を下回ってしまいます。
洋服などを購入して、リユース市場で売却しても同様です。ただ自動車や洋服の代金が減額したからと言って「失敗」と思う人はほとんどいません。
もちろん、気に入らないものを買ってしまった場合は「失敗」ですが、気に入って着た洋服、日ごろの通勤や買い物に使った自動車は、使うという行為で購入代金の目減りをカバーしていると考えることができます。