はじめに

はじめての確定申告で支払う税金

もしあなたが平成29年3月末で退職し、4月から個人事業主としての活動を始めたとします。

退職前の給与収入と同程度の年間400万円の利益(売上収入から経費を引いた残り)を出せるとしたら、平成29年分の確定申告ではどれくらいの税金を支払う必要があるのでしょうか?

1月から3月までは3ヵ月分の給与収入が合計100万円あったとし、4月から12月までは個人事業主として9ヵ月で300万円の利益が出たとして計算してみましょう。

この場合、給与収入は「給与所得控除」を65万円分使えるため、税金がかかるのは100万円から65万円をひいた残りの35万円部分だけとなります。

同じく個人事業主として青色申告する旨の申請を行っていれば、300万円の利益から65万円の青色申告特別控除をひくことができますので、残りの235万円部分にのみ税金がかかることになります。

この結果、社会保険料を約45万円支払っていたとすると、基礎控除もありますので課税される所得金額は約190万円、所得税の年間税額は約10万円となります。また、会社から給与を受け取っていた際に源泉徴収されている所得税があると思いますので、その金額を引いた残りの税額を平成30年3月15日が期限となる確定申告の際に納める必要が生じます。

翌年以降はどうなる?

では、上記の条件で確定申告を行った場合、平成30年6月以降に納める住民税などはいくらになるのでしょうか?

住民税の税率は一律10%となりますので、年税額約20万円を4回に分けて納付することになります。

国民健康保険料は自治体によって差がありますが、たとえば東京都港区の場合は年間約24万円になります(介護保険がない場合)。国民年金は平成29年度と同額だとすると年間約20万円です。

このほか、個人事業主の場合は年間利益が290万円を超えると基本的に5%の事業税がかかります。今回の想定ケースでは、4月から開業したため、300万円の利益から290万円を月割りした217万5,000円をひいた残りに5%の税金がかかり、約4万円を納付する必要があります。

なお、確定申告の際に納めた税金が15万円以上の場合は、翌年の所得税を事前に納める予定納税という制度があります。今回の例では年間税額が約10万円であったため、平成30年度における予定納税の必要はありません。

さて、ここまで見てきてわかるように、所得税、住民税、国民健康保険、国民年金、事業税と合わせて約80万円もの税負担が、平成30年中に発生することになります。

もし納税できなかった場合は延滞金などの利息も発生するため、できるだけ期限内に納税を済ませたいところ。

今回の例では毎月約33万円の利益を出せている計算になりますので、そのうちの2割である約7万円を毎月積み立てておけば、慌てずに納税資金を確保できます。

将来の税金を見越して一定の割合を別口座で管理しておけば、急な納税に焦らなくてすみます。独立を考えている方は、ぜひ事前に準備するようにしましょう。

この記事の感想を教えてください。