はじめに

製造業支援が株式市場の追い風に

株式市場は今回の発表を受けてもほとんど反応しませんでした。そもそもインフラ投資で恩恵を受けるのは中小の建設、不動産会社をはじめとした非上場企業が中心で、ハイテクやグローバル企業の多い上場大企業の業績に与える影響は大きくありません。バイデン政権による財政政策の大型化観測によって米金利は年初から上昇を続けハイテク株などの重しとなっていましたが、インフラ投資の規模縮小によって金利上昇が落ち着けばむしろ株式市場にとってポジティブとも言えます。

また、内訳でも株式市場に恩恵が小さい環境関連ではなく、製造業支援に3,000億ドルという巨額の予算がついており、技術覇権を巡って中国と競争を繰り広げている半導体関連企業には強い追い風となりそうです。

今後の注目点は民主党内の調整に移ります。民主党左派の代表格であるオカシオコルテス下院議員はこのインフラ投資計画を「とうてい十分ではない」と批判しています。また、一部の民主党議員は法人税を28%ではなく25%への引き上げにとどめるよう主張しています。

アメリカンジョブズプランもすでに成立したアメリカンレスキュープランと同様に、上院において単純過半数で法案を可決させる財政調整措置を用いて実施されるため、共和党の意見は反映されません。そのため、与野党の攻防よりも民主党内部の調整に目を向ける必要があります。

※内容は筆者個人の見解で所属組織の見解ではありません。

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