はじめに

大相撲本場所懸賞本数は緩やかに持ち直し

企業の広告費の代理変数と言える大相撲の懸賞は、新型コロナウイルス感染拡大で無観客開催となった昨年春場所に落ち込み、夏場所中止の後に開催された7月場所で1,000本と直近のボトムを記録しました。その後、緩やかに持ち直しています。

今年の初場所は1,270本とコロナ禍で最高を記録しました。ただし、コロナの影響がほとんどなかった2020年1月との比較になる前年同場所比は▲30.8%の大幅減です。

今年3月の春場所は通常の大阪開催でなく、両国国技館で開催されました。15日間で1,191本懸かり、コロナ禍では2番目に多い本数でした。前年春場所比をみると+11.5%の増加です。それなりの底堅さが感じられる数字と思われます。

桜の開花時期と景気の関係

2月1日以降の最高気温の合計が600℃になると桜が開花すると言われます。2020年の東京の桜の開花日は、それまで最も早かった3月16日より2日早く咲きました。今年は3月14日に開花、3月14日までで最高気温の累計が611.5℃となり、600℃を超えた日がちょうど開花日になりました。昨年に続き観測史上最速タイになりました。

1953年から実施されている気象庁の生物観測調査で、東京の桜の開花が3月21日以前と早い年は一昨年までで14回あり、その時、景気は後退局面になったことがそれまではありませんでした。厳しい冬の期間が過ぎて明るい気分になる人々も多いからでしょう。早く春が来ると春物が売れ、お花見の宴会で人々の気分が高揚します。しかし、昨年・今年と2年連続で新型コロナウイルスの感染拡大を予防するために、お花見の宴会が自粛されました。

3月の景気ウォッチャーでは、現状判断で「花見」についてコメントした人は7人と少ないながらいました。「花見」現状判断関連DIをつくると53.6と景気判断の分岐点50を上回りました。先行き判断で「花見」についてコメントした人は9人で、「花見」先行き判断関連DIをつくると61.1と高めの数字になりました。

淡いピンク色の桜の花を見ることは、宴会は出来ずとも人々のマインドを明るくさせる効果がありそうです。昨年は景気との関係が崩れてしまった桜の開花も、今年は心理面から明るさを取り戻し、再び景気にプラスに働いたようです。

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