はじめに

FRBのテーパリング検討は8月?

さて、4月に入ってからは円安ドル高基調に一服感が窺えますが、米国の長期金利の上昇にはっきりとブレーキがかかっていることが背景と言えます。米国経済の正常化への期待や、1.9兆ドル規模の財政支出による需給悪化懸念はある程度織り込まれつつあり、米国債の売り材料に対する反応が鈍くなっている印象です。

一方で、過熱感が意識される米国経済の現状を踏まえると、米長期金利の基調が上昇から低下に転じたとは想像できません。今後、テーパリング(購入資産の段階的縮小)の観測が台頭し始めれば、再度、米長期金利の水準が切り上がってもおかしくないでしょう。

FRBがテーパリングを検討するタイミングについてヒントになるのが、セントルイス連銀のブラード総裁の発言です。同氏は、米国内のワクチン接種率が75%に達すれば、テーパリングを検討するのに必要な条件が整うとの見解を示しています。

現在のペースが続くと仮定すれば、75%に相当する5億回の接種は8月上旬までに達成できます。ブラード総裁の見解はFRBを代表するものではありませんが、例年8月下旬に行われるジャクソンホールでのシンポジウムが政策の変更を伝える最適な場となりそうです。その後、今年末~来年初めにはテーパリングが開始されることが予想されます。

現状、3月までのような急ピッチなドル上昇は想像しにくく、当面はやや神経質な値動きが避けられないでしょう。ただし、前述のように、米長期金利の上昇基調に変化がないというシナリオにおいては、円安ドル高の継続が基本線となります。

米国発の政治的なノイズが薄れる中、日米の経済ファンダメンタルズに着目すれば、ドルの上値トライはこれからが本番かもしれません。

<文:投資情報部  シニア為替ストラテジスト  石月幸雄>

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