はじめに

「結婚しても大丈夫なのか」という不安

「Pairs少子化・未婚化白書」では、日本における未婚化と恋愛離れの実態把握、要因の考察により、恋愛・結婚しやすい環境を作り出すためのヒントを探っています。

オンラインセミナーで、中央大学文学部山田昌弘教授は、「日本人にはリスクを避けたい意識が強くあり、結婚に少しでも不安があるとためらう傾向」を分析しています。

山田教授は、「昭和時代に主流だった職場結婚は、互いの学歴や職業、性格、収入まで事前に分かっていたから安心して交際でき、結婚に至ることができた。現代では、職場や地域での結婚が減少したのに、偶然の出会いはハードルが高い」と話しました。

その理由は、相手の情報を知らない状況で交際を始めるのは、リスクが伴うと考える日本人が多いから。リスクが少ない相手とコストをかけずに出会う機会が減少していることが、非婚化に大きく影響していると解説しました。

また、若い男性の雇用化が不安定化したのに、女性には「男性が家計を支える」という考えが根強くあるとも指摘。さまざまな点で「結婚して大丈夫なのか」という不安が婚姻率を低下させていることを分析します。

若者に“見栄”が足りない

オンラインセミナーでは、石橋さん、山田教授に加えてジャーナリストの治部れんげさん、マーケティングアナリスト・若者研究家の原田曜平さんをゲストに迎えてトークセッションが行われました。治部さんは、現代の若者全体におけるコンプライアンス意識や真面目な考え方の高まりから、相手から少しでも「NO」があれば追いかけることが少ない点を指摘。若者は出会いの場を設定されることで、相手を好きになってもいい、追い求めてもいいと安心できるようです。

原田さんは“見栄”の存在を挙げます。恋愛や結婚は消費と同じように、活発化するにはある種の“見栄”が動機として必要なんだとか。

「他人への見栄や世間体を気にすることで消費欲が刺激されていましたが、ここ30年くらいでそれがすっかりなくなりました。近年はインスタ映えなどで少しずつ“見栄”に対する欲は回復していますが、結婚という場にも新しい動機を作っていく必要があると思います」(原田さん)

さらに、「決断がない男性が多いから悪い」と考える女性が多いことも指摘。「恋愛や結婚の最終決断を男性がするという共通認識が問題。男女は対等であるべき」と語りました。これに対し、山田教授は「女性が積極的になったほうが成婚率は高いというデータもあるので、『決断力がない男性が多いからみんな結婚できない』とは言い切れない」と話しました。