はじめに

ジェンダー規範をぶっ壊せ

山田教授も「正社員男性とパート主婦を当たり前にするのではなく、さまざまなパターンを支援してほしい」と、多様な家族の在り方を認め、支援する仕組みを訴えます。

治部さんも「若くて元気なお母さんが常に家にいることを前提とした制度があると、多様な家族は生まれない。少子化対策より本質的に大事なのは個の尊重。個人が生きたいように生きられる安心感を国が担保しなければ」と求めました。

ネットには、結婚した後に家事育児の負担から、不仲になる夫婦の情報が溢れています。こうした情報に触れ、結婚に消極的になる人も少なくないでしょう。

男性が家族を一生養う時代は終わり

ジェンダー問題に詳しい治部さんにこの点を聞くと、男女ともに意識改革が必要だと語りました。

「男性が家事育児を一切やりたくないならいっぱい稼ぐべき。自分の遺伝子を持った子どもを産ませ、家事育児も担ってもらうのは安いものではありません。一方で女性も、父親世代のように、男性が一生家族を養うのは難しいことを自覚すべき。『大丈夫。いざとなったら私が稼ぐから」と言えるくらい好きな相手と結婚することが大事」

新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、リアルな出会いが減少し、未婚化や少子化はますます進みそうです。マッチングアプリや結婚相談所などでの能動的な出会いにも、結婚に前向きになれるようなさらなる工夫が必要でしょう。

同時に政府も安直な少子化対策ではなく、ジェンダー規範の見直しや個の尊重などを進める政策も必要です。今回のオンラインセミナーでは、今の日本が抱えている未婚化や少子化の複合的な問題が浮き彫りになり、そして新たな解決策の方向性が垣間見えた気がしました。

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