はじめに

「まん防」で働き方は変わった?

さて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は一向に止まらず、引き続きテレワーク(リモートワーク)を活用した在宅勤務で人手を抑えるよう求められています。

まん延防止等重点措置の適用後に実施された、日本生産性本部の調査レポート「第5回 働く人の意識調査(2021年4月22日公表)」によると、テレワーク実施率は19.2%でした。1月実施の第4回調査では22.0%、以前紹介した2020年10月実施の第3回調査では18.9%、7月実施の第2回調査では20.2%と、2割程度で落ち着いたようです。

第4回調査は2回目の緊急事態宣言後に行われ、今回の調査はまん延防止等重点措置中でしたが、いずれもテレワークを増やす効果は見られません。最初の緊急事態宣言で31.5%あったテレワーク実施率は低下したままです。


出典:日本生産性本部 / 第5回 働く人の意識調査

1週間当たりの出勤日数は、今回の第5回調査で「0日」が18.5%、「1~2日」が32.7%、「3~4日」が28.4%、「5日以上」が20.4%と、2020年7月以降大きな変化はありません。


出典:日本生産性本部 / 第5回 働く人の意識調査

“在宅勤務スキル”は向上している?

テレワーク実施率が低いままな一方、在宅勤務に対する評価は悪くなく、むしろ好意的に受け止める人の割合が増えています。期間をこなしたことでうまく付き合えるようになり、“スキル”が向上したといえるかもしれません。

調査では、「自宅での勤務で効率が上がったか」「自宅での勤務に満足しているか」という質問に対しては、以下に示す結果が得られました。いずれも、高評価の回答が1年弱前の第1回調査から増加しています。

自宅での勤務で効率が上がったか 割合
効率が上がった 15.5%
やや上がった 43.6%
やや下がった 32.6%
効率は下がった 8.3%
自宅での勤務に満足しているか 割合
満足している 27.1%
どちらかと言えば満足している 48.6%
どちらかと言えば満足していない 17.7%
満足していない 6.6%


出典:日本生産性本部 / 第5回 働く人の意識調査


出典:日本生産性本部 / 第5回 働く人の意識調査

在宅勤務のメリットを実感する人が増えつつあっても、テレワーク実施率は高まりません。在宅勤務やテレワークだとスムーズに作業できない業務もあれば、つい働き過ぎてしまう問題があるのかもしれません。

そうはいってもテレワーク実施水準がコロナ以前に戻るとも考えづらく、休憩を意識的にとることがワークライフバランスの確保やウェルビーイングに必要です。

著者 フリーライター 佐藤 信彦
IT翻訳/執筆/取材/インタビュー/撮影に対応するフリーランス。キヤノンでLBP/MFPファームウェア開発に従事。「Palmプログラミング」(2000年出版)で翻訳者に転身後、主にITpro(日経BP社)向けに海外IT情報の記事を多数執筆。2011年よりインターネットコムで編集者 / 記者として活動。2015年にフリーへ戻り、CNET Japan / BuzzFeed Japanなどで執筆。やっぱり猫とギターとロードスターが好き。

(この記事はボクシルマガジンからの転載です)

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