はじめに
リスクが取れる、取れないで投資内容の見極めをする
リターンを考える一方で、リスクについて考えることも忘れてはいけません。リスクを抑える意味でも先ほど紹介した分散投資は有効ですが、牛山さんはさらに「ポートフォリオをしっかり組み立ててほしい」とアドバイスします。
ポートフォリオとは、運用する金融商品の組み合わせのこと。株式や債券、不動産、金などの資産を必要に応じて組み合わせて購入、保持することを「ポートフォリオを組む」といいます。ポートフォリオを組んで資産を分散させることで、「株が下がっても債券は下がらなかった」というように、リスクを分散させることができます。ただ、このポートフォリオの作り方は、投資する人によって異なってくるようです。
「例えば、まだ若くてこれから収入が見込める人なら、相場が下がって資産が一時的に減っても許容できる範囲が大きくなります。そのために株などのハイリスクハイリターンの資産を多く組み入れるなど、リスクをとっても問題ありません。収入が安定的に見通せる人もリスクが許容度が高い人です。一方で、まもなくリタイアを迎える人などは資産が目減りした際にそれを上回る収入が期待しづらいため、ローリスクローリターンの債券の比率を高くするなどの工夫が必要になります」
今後何十年と働き続ける予定の若い世代でも、コロナ禍で収入が安定しなくなり、今後に不安を抱えている人もいるでしょう。「毎月の収入が安定しない人は、あまりリスクを取らないほうがいい」と牛山さん。
「収入だけでなく、ご自身の性格も考慮してください。投資を始めてもすぐに利益が出ないと焦る人は、投資でリスクを取り過ぎると、日々の生活が窮屈になるだけ。こうした性格であれば、リスクを抑えたポートフォリオを組んだり、投資する金額を抑えて預金にするのも一つのリスクヘッジです。一方で、今回のコロナ禍のようなことがあっても資産の一時的な目減りが気にならない人はリスク許容度が高いと言えます」
・若い世代(今後収入が見込める人)
・公務員など、コロナ禍でも収入が安定している職種、業種
・多少の値動きに不安にならない人
・リタイアが間近な人
・自営業など月々の安定収入が見込めない人
・利益が気になって焦ってしまう人