はじめに
成長途中の市場、海外企業参入で植物肉は安くなる?
欧米の植物肉は、大豆からタンパク質を抽出し成型加工して、科学的なアプローチでお肉を再現しているといいます。「テクスチャ、歯ごたえ、製造過程も日本とは異なります。おいしさもさることながら、食後の胃もたれ感もありません。お肉を超えるお肉を作ろうとしているのです」。一方、国内の大豆ミート商品については改善の余地が多大にあるといいます。
ただ、どちらの代替肉市場もまだ成長途中で、新たな消費者層を取り込みながらこれからさらに拡大していくといわれています。
「安く供給することが求められる畜産業はこれから厳しくなるでしょう。動物の本性に従って生きる権利を尊重するアニマルライツや、ストレスの少ない環境で家畜を飼育しようというアニマルウェルフェアが重要視されると従来の畜産業は成り立たなくなり、これまでみたいに安く供給できなくなります。そうなると、原料の安い植物肉の方が安く買えるようになりますし、国内外問わず多くの企業が参入し競争が激しくなれば、今後価格も下がっていくと予想されます」
健康はもちろん、環境問題、動物愛護、飢餓といった社会問題解決のためのソリューションとしても注目されている植物肉。「いずれにしてもお肉をなくそうというような過激なことを言っているわけではありません。こうしたソリューションが普及することによって、世の中が良くなることを目指しているのです」。
マーケティングリサーチ会社のクロス・マーケティングが実施した「代替肉・代替たんぱく質に関する調査」によると、約8割が「喫食経験なし」と答えたものの、「喫食経験あり」と回答した人を含めた全体のおよそ5割が「喫食意向あり」と回答しています。
植物肉が店頭に並ぶことは、消費者にとって選択肢がひとつ増えるということ。その選択の積み重ねが、環境負荷を減らしたり、社会貢献につながっていくと考えると消費者側の意識も変わってくるのではないでしょうか。
※調査対象:全国の20〜69歳の男女
※有効回答数:本調査1,100サンプル