はじめに

仕事とは、出勤でなく作業すること

WFA導入を決定する何年も前から、Spotifyは将来の働き方を検討し、議論を重ねてきたといいます。そのうえで、働く環境の柔軟性向上は、グローバル化とデジタル化が主役であり、企業と従業員の双方に恩恵をもたらす、という結論に至りました。

Spotifyの基本的な考えは、「仕事とはオフィスに出勤することでなく、作業すること」です。そのためには、柔軟でワークライフバランスのとれた職場環境が重要なので、さまざまなコミュニケーションとコラボレーションのツールを駆使し、分散方式で組織を運営する方向を選びました。

国境を越えたリモートワークの可能性

リモートワークやオンラインミーティングが普及していけば、オフィス勤務や出張の機会は少なくなるでしょう。海外へ事業展開する企業も、従業員を展開先へ駐在させる必要性が低下するはずです。プロファイルズの調査では、海外駐在員に対して求める人材像が変化した、と考える企業が多くありました。

また、この半年で「国をまたぐリモートワークの効果性をどう高めるのか?」という課題に対する問題意識が高まったそうです。COVID-19パンデミックによって、在宅勤務(Work From Home:WFH)目的のリモートワークから、国境を越えたリモートワークへと一気に進むのでしょうか。

国が異なれば、労務に関する法律や税金の問題、休日の扱いなども異なります。コミュニケーションやコラボレーションのツールが使えたとしても、ほかの国にいながら従業員として勤務することは、一朝一夕に広まらないでしょう。

しかし、国境を越えたリモートワークのメリットは確かに存在します。Spotifyの試みが多くの障壁を壊す可能性もあり、今後の進展は見逃せません。

著者 フリーライター 佐藤 信彦
IT翻訳/執筆/取材/インタビュー/撮影に対応するフリーランス。キヤノンでLBP/MFPファームウェア開発に従事。「Palmプログラミング」(2000年出版)で翻訳者に転身後、主にITpro(日経BP社)向けに海外IT情報の記事を多数執筆。2011年よりインターネットコムで編集者 / 記者として活動。2015年にフリーへ戻り、CNET Japan / BuzzFeed Japanなどで執筆。やっぱり猫とギターとロードスターが好き。

(この記事はボクシルマガジンからの転載です)

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