はじめに

経済産業省が2020年12月、調査報告書「DXレポート2」の中間とりまとめを発表しました。「2025年の崖」を提唱した2018年のレポートに続くもので、コロナ禍でDXの緊急性が高まり、本質が明らかになったと指摘しています。この危機を乗り越えるには、経営層がリーダーシップを発揮し、組織全体を巻き込んで改革する必要があります。


「2025年の崖」が目前に

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を抑えようと、政府が緊急事態宣言を発出しました。独自の宣言をした地方自治体もあり、外出自粛や在宅勤務の必要性が改めて高まっています。

もっとも、2020年4月からの緊急事態宣言をきっかけにテレワーク体制へ移行した企業は、働き方のデジタル化、オンライン化など済ませているでしょう。それどころか、事業の進め方を根本的に見直す、デジタルトランスフォーメーション(DX)まで視野に入れている企業もあるかもしれません。

COVID-19パンデミック以前から、DXは取り組むべき重要課題とされています。たとえば、経済産業省は2018年9月に「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』」の克服とDXの本格的な展開~」という報告書を出し、DX推進を強く訴えました。

それによると、多くの経営者はDXの必要性を理解しているものの、既存ITシステムや経営改革、抵抗勢力といった課題があるそうです。こうした課題を克服できなければDXは実現できず、2025年以降に最大で年額12兆円の経済損失が生じかねない、と警告したのです。

経産省はこの問題を「2025年の崖」と呼び、強い危機感を伝えようとしました。

コロナ禍でDXは進んだ?

経産省は、国内企業のDX対応状況を継続的に調査しています。「DXレポート」から約2年後の2020年12月末に公表された中間報告書「DXレポート 2 中間取りまとめ」から、現在の状況や今後とるべき対応などを読み取りましょう。

COVID-19で環境激変

前回の報告書が出された2018年以降、COVID-19によって環境が激変しました。DXレポート 2のデータでは、テレワーク導入が2020年の3月から4月にかけて急増しています。都内企業(従業員30人以上)のテレワーク導入率は、以下のとおりでした。

調査時期 導入している 今後導入予定あり 導入予定なし
2020年3月 24.0% 5.0% 71.0%
2020年4月 62.7% 6.1% 31.2%

この急増について、経産省は、経営トップがコロナ禍を契機に主導したため速やかに大きな変革を達成したと分析。環境変化に素早く対応できたかと、「押印、客先常駐、対面販売など、これまでは疑問を持たなかった企業文化」を変革できなかったかが、両者の分かれ目になったと指摘しました。

さらに、ITシステムにとどまらず、固定観念を変革することの重要性が明らかになった、としています。

DX対応は二極化

国内企業のDX対応はどうでしょう。

DX対応状況が「持続的実施」から「部門横断的推進」という企業の割合は、わずか5%ほどです。残る約95%は、「一部部門での実施」から「未着手」という段階にとどまっています。しかも、このデータはDX推進指標を自己診断した企業の回答を整理したもので、診断結果を提出すらしていない企業が多数存在しました。

経産省は、「DXの取組を始めている企業」と「まだ何も取り組めていない企業」に二極化しつつあるとしています。そして、「現在のビジネスモデルの継続を前提としている企業、部分的なデータ分析にとどまっている企業が多く、変革への危機感の低さが垣間見える」としました。


出典:経産省 / DXレポート 2 中間取りまとめ