はじめに
経営層の積極関与が明暗わける?
このような違いはなぜ生じるのでしょうか。経営層のDX関与状況を日米で比較したところ、以下のように大きく異なっていました。
経営層の関与状況 | 日本企業 | 米国企業 |
---|---|---|
DXの戦略策定や実行に経営陣自ら関わっている | 35.8% | 54.3% |
申請/提案されたDXの戦略や実施に対して承認をしている | 47.6% | 32.2% |
経営陣がDXに関与することはあまりない | 16.6% | 13.5% |
米国企業は半数以上で経営層がDXに積極関与しており、その結果、DXのカバー範囲を新規事業や外販といった領域へ大胆に広げられると考えられます。ちなみに、全社戦略の一環としてDXに取り組んでいる日本企業は、DXへの経営層関与や適用業務の多様性といった点で米国企業と似ているそうです。
出典:JEITA、IDC Japan / JEITA、日米企業の DX に関する調査結果を発表
小手先の業務改善でなく、変革を
コロナ禍により、多くの企業が変革を迫られています。DXは、業務を単にデジタル化、オンライン化するだけの取り組みでありません。経産省はDXレポート 2のなかで、「ITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革することがDXの本質」だとしました。DXはITシステム更新の問題でなく、企業文化刷新の問題へ変わったというのです。
COVID-19パンデミックが起きたことで、これまで先送りしていた変革の阻害要因が一気に表面化しました。「ビジネスにおける価値創出の中心がデジタルの領域に移行」してしまい、この流れは止まらないでしょう。どれだけ迅速に対処できるかかどうかで、企業の差が決まります。
小手先の業務改善でなく、大きな変革を実行するなら、経営層がリーダーシップを発揮しなければなりません。さらに経産省は、関係者間の共通理解形成と、けん引するDX人材の確保も不可欠だとしました。このように、組織全体をDX活動へ巻き込んで変革するには、チェンジマネジメントと呼ばれる経営手法が有効です。
「レガシー企業文化」から脱却し、デジタル企業へ変革することで、2025年の崖を飛び越えましょう。
著者 フリーライター 佐藤 信彦
IT翻訳/執筆/取材/インタビュー/撮影に対応するフリーランス。キヤノンでLBP/MFPファームウェア開発に従事。「Palmプログラミング」(2000年出版)で翻訳者に転身後、主にITpro(日経BP社)向けに海外IT情報の記事を多数執筆。2011年よりインターネットコムで編集者 / 記者として活動。2015年にフリーへ戻り、CNET Japan / BuzzFeed Japanなどで執筆。やっぱり猫とギターとロードスターが好き。