はじめに
3月以降、米国や欧州の株価指数が歴代最高値圏に位置する中で、日本株の出遅れが鮮明になっています。新型コロナのワクチン政策、経済の回復度合い、自国の政治動向など、さまざまな要因が絡む中ではありますが、日米欧の株価指数のパフォーマンスの違いが顕著になっています。
この傾向は今後も続くのでしょうか。日経平均株価のこれまでの動きについて、チャートを中心に簡単に振り返り、今後の節目の価格帯・展望についてみてみましょう。
チャートの黄色信号「デッドクロス」って何?
日経平均株価のチャートを詳しく見るまえに、4月1日の日米欧の株価指数(日経平均株価、NYダウ、ユーロストック50)を100とした値動きを見てみます。直近までに、米国のNYダウが+約6.6%、欧州を代表するユーロストック50指数が約+6.3%に対し日経平均は約-6.7%となっています。相対的に日本株指数は10%を超えるアンダーパフォームとなっているのです。
次に、週間の動きからなる週足チャートを用いて、日経平均株価のこれまでの値動きを見てみましょう。
昨年のコロナショック以降、一本調子で上昇を続け、2月にはバブル以来の3万円を突破し堅調に推移していましたが、それ以降は上値を切り下げる展開となっています。一方で、下げても27,000円台前半では何度か反発していることもわかります。
そこでこれまでの値動きの高値と安値の節目を結ぶと、下降する三角形のような形が描けます。この形は「三角持ち合い」と言われ、仮に下値を結んだ線を割れると下降へ向かう可能性が高いとされます。もちろん、想定通りの値動きとならないケースもあるため一概には言えませんが、先行きはやや売り優勢とも見え、注意が必要と言えるでしょう。
このようにチャートの形から下落基調であるように見えますが、一定期間の価格を平均して求める「移動平均線」を用いてトレンドを見ても、下落の兆候が見て取れます。
1日の値動きからなる日足ベースで日経平均株価のチャートをみると、長期のトレンドを示す200日移動平均線を下回って推移しており、かつ短期のトレンドを示す25日移動平均線が200日移動平均線を上から下に突き抜け、弱気のサインである「デッドクロス」が発生しています。
また1週間の値動きからなる週足で見ても、7月初旬に短期の13週移動平均線と中期の26週移動平均線で「デッドクロス」が発生したのち、現在は長期のトレンドを示す52週移動平均線近辺で株価は推移しております。
このように、現在の日経平均株価は、これ以上価格が下回ると下落が加速しかねない重要な分岐点に位置していると考えられます。