はじめに

外食チェーンの値上げのニュースが続いています。いろいろなコストアップ要因があって、企業努力だけでは足りなくなってしまったということで、今回の値上げは仕方のないことかもしれません。

ただし、そのコストアップ要因の中で少なからずの影響を占めているのがビールの値上がりだといいます。そしてこの値上げは自然に起きたものではなく政府の規制で起きた値上げです。

そして値上げが起きると当然のことですがお客さんの数は減ります。そうなると結局のところどうなるのでしょうか? 値上げ分で売上は増えるのか、それとも景気が悪くなるのか、最終的にどうなりそうなのかを検討してみましょう。


外食チェーン各社が続々と値上げを発表

ラーメンチェーン『日高屋』を運営するハイデイ日高が生ビールの価格を310円から330円に値上げすると発表しました。

日高屋といえば390円の中華そばが人気ですが、ラーメンを食べにくるだけのお店ではなく実はサイドメニューも充実していて、帰宅前のサラリーマンにとっては3個120円の餃子や170円のやきとりをつまみながら、ちょい飲みができるお店としても人気です。

そのような状況で「ほんの20円」といえ値上げはどう影響があるのでしょう? 値上げを発表した翌日のハイデイ日高の株価は上昇してはじまりました。基本的にはこの程度の値上げであれば経営絶好調の『日高屋』の商売には大きなマイナスの影響はないと投資家は考えたのでしょう。むしろ値上げによってコスト増が吸収されるのでプラスだと判断した人が多かったのだと思われます。

実は日高屋以外にも値上げをする企業が続々と増えています。鳥貴族が28年ぶりに全商品を280円から298円に値上げするそうです。発表によれば人手不足の中でのアルバイトの時給引き上げや野菜などの価格が高騰していることで、28年間守って来た価格を変えざるをえないというのです。またガストも同様にメニューの値上げを発表しています。

コスト増の大きな原因に「ビールの安売り規制」

さて、これらの外食チェーンの相次ぐ値上げは確かに人件費が増加傾向にあることや、食材の価格が高騰傾向にあるというのが要因ですが、もうひとつ忘れてはいけない原因があります。それがビールの価格高騰です。

冒頭にお話しした日高屋の件、ビールは20円値上げで330円になるのですが、ハイボールなど安価なお酒も値上げはしているものの値上げ幅は10円で一杯280円。値上げ幅はビールより低く抑えられています。

この値上げ幅の違いについて、主な原因と言われているのが政府主導で起きた「ビールの安売り規制」問題です。

話は今年の6月にさかのぼります。6月1日に「酒税法等一部改正法」が施行されました。法律の趣旨は、ビール業界における行き過ぎたリベート競争を止めさせること。原価に人件費など適正なコストを乗せた価格よりも低い価格でビールを販売する業者に対して、最悪免許を取り消すとしたものです。

この法律が施行されたことで、酒販免許を持った量販店や酒屋さんの店頭でのビールの店頭価格は1割近く上昇しました。

[PR]NISAやiDeCoの次は何やる?お金の専門家が教える、今実践すべきマネー対策をご紹介