はじめに

過去の季節パターンからも転換タイミング接近

続いて、日経平均株価の過去10年の足取りについて、各年初めの水準を100として指数化して平均したものを見てみましょう。

今年はコロナ感染の拡大持続などもあって、ここまで過去平均とやや異なる展開となりましたが、例年平均では8月夏枯れ相場的な軟調展開が9月半ばには一巡、年末相場の起点となっていることが注目されます。上述したファンダメンタルの良好さが支えとなるほか、世界に出遅れた大きな要因と見られるワクチン接種の遅れを解消する見通しとなってきたことも支援材料になると考えます。

むしろ見方によっては、状況の改善余地、景気・業績等の回復ポテンシャルも小さくないという点にこそ、海外投資家等の目線が向く可能性もあり、例年並みの年末高は十分に期待できるとみています。

ワクチン接種の遅れはまもなく解消へ

首相官邸から日々発表されている日本の新型コロナウイルスワクチン接種状況において、2回目接種を済ませた人の全人口に対する比率は8月23日時点で40.7%まで向上、着実に欧米諸国との差を埋めつつあります。

欧米主要国の経済正常化の動きが加速した春先には、日本の接種の遅れが相場的にも悪材料視され、さらにその後の国内感染の拡大も重なって、現在に至るまで新型コロナ対応の見劣り感が日本株の重荷となっています。

一方でこのところの日本の接種は2日で1%弱の進捗ペースを維持、菅首相の見立て通り9月末には6割に接近する可能性が高そうです。米国は50%を超えて明らかに頭打ち状況ということで、このペースでいくと9月半ばにも日米逆転の公算が高まっています(米食品医薬品局・FDAのファイザー製ワクチン正式承認で再加速の可能性もありますが)。

このタイミングに感染ピークアウトの兆しが見られれば、先を見る「株式市場」にとっては、出遅れ見直しのきっかけとなると考えています。

<文:投資情報部 林卓郎>

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