はじめに

10代に必要なのは「お金の使い方を知ること」

では、10代はいま、どんな金融教育を受けたいと思っているのでしょうか。同調査では、学校の授業で教えてほしいと思うお金の知識についても聞いています。

最も回答が多かったのが「ローン・クレジットの仕組み」でした。ですが、住田さんはその仕組みを知る前に10代で身につけるべき大切なことがあるといいます。

「当塾ではクレジットカードや決済方法などの話はしていません。クレジットカードの仕組みを知っていても借金する人はいます。大事なのはそこではなくて、お金の使い方なんです。

金融広報中央委員会の調査(2019年)によると、20代単身者の45.2%、およそ2人に1人が貯蓄ゼロです。『年功序列の日本において20代は給料が少ないからではないか』と考える方もいるかもしれませんが、貯蓄ゼロ世帯は30代で36.5%、40代は40.5%。つまり、給料が増えても、その使い方で失敗している人が少なくないことを示しているのです」。

賢いお金の使い方を身につけるためには、その支出が「浪費」「消費」「投資」のどれに該当するのかを見極めること、また毎月収入の一定額を先取りで貯蓄・投資に回すことで貯まる仕組みを作るのが有効だといいます。

貯金だけでなく、投資もした方がいいとするのは、銀行に預けるだけでお金が増えていった40年前と現在とでは金利が大きく違うから。自分でお金を増やす力を身につけていかなければなりません。「投資を始めるにはまとまった資金が必要と考える方も多いですが、いまは月100円から設定できます」。


キャッシュレス決済、老後2,000万円問題、長引く超低金利……。お金を取り巻く環境は日々変化しています。生きていく上で欠かせないものだからこそ、正しい知識が必要です。来年度から高校でスタートする金融教育だけでなく、フリマアプリを使ってみる、少額から投資を始めてみるなど、さまざまな経験を通じてお金について学ぶことも大切になってきそうです。

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