はじめに
日常生活や生き方を通して、お金の価値観を考えるきっかけになるような話題の本をMONEY PLUS編集部がピックアップ。書籍の担当編集者に読みどころやこだわり、制作秘話などを語っていただきます。
今回は、田村賢司 著の『経済ニュースの「なぜ?」を読み解く11の転換点 教養としてのバブル熱狂と閉塞感の裏側』をご紹介します。
『経済ニュースの「なぜ?」を読み解く11の転換点 教養としてのバブル熱狂と閉塞感の裏側』田村賢司 著
バブル経済、デフレ、人口減少社会……。ビジネスの現場でよく使うわりには深く知らないキーワード。日本経済の過去への理解が浅ければ現状認識を誤り、仕事の成否に関わるかもしれない。今を正しく理解するため過去の転換点を深く知る。11のキーワードをテーマ別年表と豊富な図説とともに、歴史の転換点を探りつつ整理した一冊。
四六判/並製/224ページ/日経BP社/2017年6月26日
担当編集者のコメント
この本の裏テーマは「ビジネスパーソンのための戦後日本経済史」です。
編集を担当した私は数年前、若手ビジネスパーソン向けの雑誌の編集部で働いていたとき、働く20~40代を対象に「ビジネスパーソンが身につけるべき教養分野は何だと思うか?」を尋ねる、大々的なアンケートをしたことがあります。
結果は、1位が日本史。2位が経済学。日本史のなかでも、特に戦後史への関心が高かったのが印象に残りました。
考えてみれば、戦後日本の経済史にまつわる言葉は、ニュースはもちろん、仕事での会話に頻繁に出てきます。例えば、バブル経済、日米経済摩擦、デフレと人口減少……。しかし、1980年代のバブルといえば、約30年前のこと。「現代史」の領域の話です。実体験した人の記憶も薄れつつありますし、もっと若い世代にとっては、高校や大学で体系的に学ばない「知識の盲点」です。
よく使うわりに「よく知らない」。なのに、ビジネスの現場では「よく知っている」ことを前提に会話を交わしている――。
そんな戦後日本経済史のキーワードは、教養として理解していないと恥ずかしいだけではないと思います。日本経済の直近の過去に対する認識があやふやでは、現状認識も未来の見通しも甘くなるでしょう。
そこで本書では「今を知るために学ぶべき、過去の転換点」を解説。わかりやすさにこだわった4つの特徴があります。
◎ 各章の冒頭に、要点を箇条書きした「ポイント」を用意
◎ 各キーワードについて、歴史の「転換点」を明示
◎ 各章に「テーマ別年表」を用意
◎ データをまとめた「図表」が豊富
書き手は、経済誌「日経ビジネス」と経営誌「日経トップリーダー」で主任編集委員を務める田村賢司さんです。誰もが驚嘆する膨大な取材から導き出される明解な論旨が持ち味。それが読者の方々の「なるほど、わかった!」につながれば幸いです。
(日経BP社 担当編集:日経トップリーダー編集部 小野氏)