はじめに

外国為替市場では、円が主要通貨に対して軒並み売られる展開となっています。円安傾向が顕在化した最大の要因は、金融政策の方向性の違いに改めて市場の目が向けられたことにあると思われます。

インフレ懸念の台頭を受けて、米欧の中央銀行はコロナ禍で実施した異例の大規模緩和を縮小する筋道を模索し始めています。それに対して日銀は、異次元緩和からの出口を探るきっかけすら見いだせていないことが背景にあります。


日本にはデフレ体質が残存

日本だけが物価が上がらないのは、デフレ体質が浸み込んだ日本経済の弊害が響いていると考えるのが妥当でしょう。すなわち家計の所得が増えないことが企業の値上げを阻む構図が続いているうえ、携帯電話料金の引き下げなど官製デフレ圧力の高まりもあって、足元の消費者物価(CPI)上昇率は水面上に顔を出さないままで推移が続いています。

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