はじめに
近年、漁業資源が減少しているというデータが続々と発表されています。このままでは将来、魚が食べられなくなるかもしれないとも言われています。
日本ではカレイ類の漁獲高が1960年代の60万トンをピークに減少し、2010年以降はピークの10分の1を下回りました。サンマも1958年の57.5万トンをピークに2015年以降は10万トン前後と不漁が続いています。
今回は、漁業資源の危機的状況と、保全にむけた世界の取り組みについてご紹介します。
量に余裕のある漁業資源はわずか6%
世界水産物消費は1961~2017年に年率3.1%と食肉消費量の年率2.1%を上回って増加し、一人当たり水産物消費量は9キロから21キロ(2018年)へ倍増しました。天然漁業は1990年代半ばにかけて増加したもののその後は伸び悩み、これを代替した養殖漁業は2018年に世界消費量の52%まで拡大しました。
水産物消費の増加を背景に、世界全体で4,800種以上の天然漁業資源が減少しています。国連食糧農業機関(FAO)によると、2017年に世界の漁業資源の34%は過剰漁獲の状態にあり、60%は適正な水準で捕獲され、量に余裕がある資源はわずか6%に留まっています。