はじめに
年末調整では手続きできない控除もある
上で紹介した15種類の控除のうち、医療費控除・寄附金控除・雑損控除の3つは、年末調整で手続きすることができません。これらの控除を受けるには、確定申告が必要です。確定申告というと一気に難しそうですが、今はウェブサイトの案内にしたがって必要事項を入力すればかんたんに書類が作れるようになっています。
なかでも、医療費控除は1年間の医療費が一定額を超えた場合に受けられる控除。自分だけでなく、家族の医療費を合計して10万円超(所得200万円未満の場合は総所得金額の5%)の場合に税金を安くできます。
また、寄附金控除ではふるさと納税の控除ができます。ただし、寄附する自治体が5つ以内で、ふるさと納税以外の確定申告が不要な場合は、「ワンストップ特例制度」を利用することで確定申告なしでも税金を安くできます。
なお、住宅ローンを借りてマイホームを購入した場合に控除が受けられる住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)も、1年目は確定申告が必要です(2年目以降は年末調整で手続き可能)。住宅ローン控除は「税額控除」といって、所得税額を直接差し引くことができるうえ、所得税から引き切れない場合は住民税からも税金を差し引けます(上限あり)ので、税金を安くする効果の高い控除です。
このように、年末調整・確定申告をきちんとすることで、これまで以上に税額が減り、手元に残るお金が増える可能性があります。漏れのないように正しく手続きしましょう。
なお、もしここまで紹介してきた年末調整・確定申告の手続きを知らなかった(忘れていた)という場合も、翌年1月1日以降5年間であれば「還付申告」によって納めすぎた税金を取り戻すことができます。この5年を振り返って、もし該当しそうなものがあるならば、ぜひ税務署に確認してみてください。