はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。
1年後、自宅を購入して住宅ローン2,500万円を10年で完済する計画です。ローンが無事完済できたら、海外の不動産に投資をしたいので、今から少しずつ勉強をしていきたいと考えています。国内の不動産については、職業柄(銀行員)少しは知識を持っているつもりですが、海外の物件については、まったく無知で少し怖い気もしています。いろんなセミナーが開催されているようですが、どれを信用すればよいのかわかりません。なんだか騙されそうで……。購入する際は、自分の目で見て、自分で調べて購入したいです。
勉強するには、まずなにから始めていけばよいでしょうか。信頼できる業者を探すポイントを教えてください。また、資金はどのくらい準備しておけばいいのでしょうか? わたしと夫の合算年収は1,000万円で、現在の金融資産は1,500万円程度です。割合は、投資信託30%、預貯金70%です。
(30代前半 既婚・子供2人 女性)
内藤: 海外不動産に関しては、国内以上に情報が少なく、物件選択は慎重にしなければなりません。
外国人が所有権を持てる国を確認
まず、大前提として、投資対象国は外国人が所有権を持てる国に限定すべきです。
たとえば、インドネシア・ミャンマー・中国といった国は、外国人が、個人で不動産を所有することができませんから除外した方がよいでしょう。
先進国の多くは外国人でも所有権が認められていますが、アジアの新興国で投資可能なのは、マレーシア・タイ・フィリピン・カンボジア・スリランカ・バングラデシュなどに限られています。
また、海外不動産の投資について勉強するためには、まずは書籍やセミナーを活用するのがよいでしょう。
私も『究極の海外不動産投資』という書籍を出版しています。海外不動産投資について書かれた書籍の中には、いい加減な内容だったり、出版時期が古く、実態と内容が大きくかけ離れてしまっているものもありますので見極めも必要です。
また、セミナーも国内でも数多く開催されていますが、こちらも玉石混交です。
そして、販売会社が開催する無料のセミナーの中には、バイアスがかかったものもあり、できるだけ客観的な視点を提供してくれるものを活用すべきだと思います。
私が代表を務める資産デザイン研究所も、できるだけ多面的な情報提供を心がけ、リスクについてもしっかりと説明しています。
また、無料のセミナーより、有料であっても情報が正確なものを選択した方が、投資判断に有効な情報を得ることができます。
スタディツアーに参加して現地を視察
国内である程度、情報収集をして、投資対象国が絞り込めたら、現地に行って視察するのがよいと思います。その際も、1人で行くのではなく、スタディツアーのように、投資家が集まって行くような機会を利用したほうが有益です。
参加者同士のネットワークが得られますし、多くの人の視点から各国の不動産状況を視察することで、客観的な判断に近づくことができるようになると思うからです。
現地の視察で確認しておきたいのは、物件だけではなく、販売会社やデベロッパーの信用力、そして完成してからの管理会社のクオリティです。
特に、管理会社がしっかりしていないと、購入してからのテナント付けや家賃の回収、管理、メンテナンスなどに問題が生じます。
海外不動産は物件によっては、1,000万円以下からでも投資できるものがあります。また国によってはローンを使って一部を借入できる場合もあります。
さらにプレビルド物件(完成前に購入する物件)の場合、購入金額を完成時までに何回かに分割して支払う仕組みになっているものもあります。
資金額の制約の中から投資できる物件を絞り込み、自分が投資してもよいと思える物件を選択していくのが、現実的な海外不動産の投資プロセスです。