はじめに

声かけすると「はっ」と驚かれる、質問しても「そうですね」とあしらわれる、商品説明しても「ふーん」で終わる……こうしたことに悩む販売員も「接客の進め方」を少し変えるだけで、お客様と楽しくコミュニケーションを取りながら売上をあげられる、と接客アドバイザーの平山枝美さんは語ります。

以前はお客様とコミュニケーションを取るのが苦手だった平山さん。「接客、もうしんどい。向いてないかも……」そう思いかけたとき、尊敬していた先輩がアドバイスをくれました。

「『自分がどう売りたいか?』じゃなくて、『お客様がなにをしてほしいか?どうしたら喜んでもらえるか?』を考えないと売上も伸びないよ」

この言葉が、お客様の状況や気持ちを考えるきっかけになり、接客での行動や言葉づかいを見直すようになったそうです。

ここでは、売り場に立ち始めたばかりで不安を感じている人や何年か接客の仕事をしているけれど自信がない人にむけて、販売員が悩みがちな3つのシーンを取り上げました。シーンごとに「嫌がられる接客」と「喜ばれる接客」の違いをイラストで解説し、お客様に押し売りをせず売上を伸ばす方法を紹介します。

※本稿は『イラストでひと目でわかる お客様に嫌がられる接客 喜ばれる接客』(平山枝美)の一部を抜粋し、再編集しています。


1.ついつい商品の魅力を語り過ぎてしまうとき


(本書p.24-25)

声かけをしたあとに、商品の特徴をひと言で伝えて興味を引くことを「ワンポイント商品説明」といいます。ダラダラと説明せず、ひと言で伝えられるようにしましょう。

私が新人だったときのことです。パンツを手にしていたお客様に「ありそうでないですよね」と声をかけると、お客様が手を止めてくれました。そのあと、私が「そちらは〇〇というブランドのパンツで、いま注目のデザイナーがいて、きれいなシルエットが得意な……」と説明を続けると、お客様はだんだんとトーンダウンした様子になってしまいました。

その同じ商品をお客様に案内しようとしたとき、うまく言葉が出てこず、「すっごく、ラインがきれいなんです」とシンプルに伝えると「そうなの?」と興味を持ってくれたのです。私はそのとき、「短いひと言で伝えたほうが聞いてくれるようになる」と気づきました。

声かけのあとは、ひと言で商品のメリットを言い切りましょう。「このバッグは驚くほど軽いんです」など、商品のメリットをひと言で伝えると、お客様の興味が一気に高まるのを実感できるでしょう。ひと言で短く言い切ると、自信を持ってすすめたい気持ちが伝わり頼もしく感じてもらえ、「続きを聞いてみたい」と思ってもらえます。