はじめに
2.お客様が接客してほしいかどうかわからないとき
(本書p.20-21)
「買い物は好きだけど、店員に話しかけられるのは嫌……」「物を選んでいるときはそっとしておいてほしい」と、店頭で接客されることが苦手なお客様も少なくありません。ですから、何度声かけしてもお客様からよい反応が得られず、「調子がよくない」と感じる日もあるでしょう。その理由の一つは、お客様が出している「接客してサイン」にうまく気づいていないからかもしれません。声をかけたときのお客様の身体の向き、うなずき方、視線などに注目すると、接客を続けるか、一度離れるかを冷静に判断できます。
ある店で商品を見ていると、となりにいたお客様が販売員に話しかけられていました。私はそのお客様がしきりに商品を盛ったり戻したりしているのを見ていたので、「きっと接客を受けたいんだな」と思っていました。販売員に声をかけられたときも、販売員のほうに身体を向けて、にっこりと笑ってウェルカムムードだったのですが、販売員はなぜか「ごゆっくりご覧くださいませ」と離れていってしまいました。
お客様が「接客してサイン」を出しているのに、販売員がそれに気づいていないといったことは、じつは頻繁に起こっています。販売員が声をかけてもお客様から目を合わせてもらえず、黙って商品を戻されてしまうことが続くと、「どうせこのお客様もそうだろう」と離れていってしまうようです。
しかし、お客様の行動を冷静に見てみると、「肩を販売員のほうへ向ける」「視線が一瞬でも合う」「商品を戻す素振りがない」などと、接客をそのまま続けてほしいというサインを出しているお客様もいます。
このようなお客様は販売員が離れてしまうと、がっかりします。販売員が引くだけ、お客様も引いてしまうのです。お客様の動きを見て、自分の行動を決めましょう。