はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。

音楽で生計を立てている35歳です。ここ数年でようやく収益が安定し、年収が700万円ほどになり、投資を考え始める段階になりました。まだ資産のない自分にとっては、インカムゲインよりも、まずはキャピタルゲインで資産形成を図るのがよいと思っています。

しかし、今年に入って会社員からフリーランスに転向したため、リスクに慎重にならなければいけないという認識も持っています。投資の入口でつまづきたくないので、アドバイスをお願いいたします。
(30代後半 独身 男性)


内藤: 資産運用を始めるのは早ければ早いほどよいといえます。運用できる期間が長くなればなるほど、時間をかけて資産形成をすることができ、マーケットの上昇からメリットを享受できる可能性が高まるからです。

キャピタルゲインを目的に投資をすることは悪いことではありませんが、多くの投資家はリスクの取りすぎで大きな損失を出し、市場から撤退してしまう傾向があります。リスクコントロールを常に意識しながら投資を進めてください。

リスクコントロールには分散投資が有効

金融資産に関してのリスクコントロールの最も有効な手段は「分散投資」です。資産を1つの種類に集中させるのではなく、リスクの異なる複数の資産に分散することで、相場が変動したときの損失を一定の範囲内に抑えることができます。

株式型の資産だけではなく、金利型の資産も、資産の安定性確保の観点から組み入れたり、円資産だけではなく、外貨資産との比率も考えることで、為替リスクもコントロールできるようになります。

ある程度資産が積みあがれば、キャピタルゲインとインカムゲインの両面が狙える投資として、海外不動産も検討できると思います。日本に比べ成長率の高い国においては、地価の上昇スピードも速く、為替が円安に振れれば、為替差益も掛け算で狙うことができます。

ただし、最低でも1,000万円程度のまとまった投資金額が必要であること、またリスクの大きな投資であることも事実ですから、どの物件に投資をするか慎重に判断していくことが大切です。

年を重ねたらインカムゲイン投資にシフト

また、40代、50代と年齢を重ねていったら、キャピタルゲイン投資だけではなくインカムゲイン投資に資産運用の目的をシフトさせていったほうがよいでしょう。株式やFXといった、主に値上り益を狙うような資産だけではなく、債券や不動産といったインカムを狙った投資にも資産を振り分けるようにしていくのがおすすめです。

資産運用は、金融資産だけではなく、実物資産(不動産)を組み合わせることで成果を一段と高められると思います。幅広い投資対象を比較検討して、それぞれの資産のメリットを上手に組み合わせることで、安定的に資産を大きくすることが可能です。

長期で資産運用を続けるには、新しい金融商品やマーケット環境の変化に対応できる知識や情報が必須です。書籍を読んだり、セミナーや講演に参加することで、最新の動向を常に注視しましょう。

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