はじめに
2002年から離婚の件数は、ずっと減少傾向にあります。しかし、同居期間が20年以上の熟年離婚については2000年近くまで、ずっと増加傾向でしたが、最近はほぼ横ばいです。
夫が会社勤めで、いままで家のことを何もやってなかった夫婦の場合、定年後にやることがなくなった夫が一日中家にいると、妻の家事の負担がグッと増えます。暇をもて余して、何もしないのに「ごはんまだ〜?」なんで言っていると、鬱陶しくてもう限界……となってしまうことも。くれぐれも気をつけてください。
しかし、妻が、「もうイヤ、別れた方がマシ!」と離婚を考えた場合に、まず戸惑ってしまうのがお金の問題です。離婚した場合、妻は夫の厚生年金の半分を受け取れる権利を持っていることをご存じでしょうか?
今回は「年金分割」についてお話しをしましょう。
夫の厚生年金保険料は、夫婦共同で支払っていた?
ずっと専業主婦をして、夫を支えてきた人が、熟年離婚をしてしまうと年金は基礎年金しかありません。基礎年金だけで老後の生活を維持するのは、とても厳しいのが現実です。
ところが、離婚をすると、夫の厚生年金の半分を受け取ることができるのです。妻も夫も、えっと驚く人が多いのではありませんか? この制度はあまり知られていません。
夫は毎月の給料から厚生年金保険料を支払っていますが、この厚生年金保険料というのは、夫婦共同で支払っていることになっています。つまり二人分と言うことですね。
ですので、婚姻期間中の厚生年金は、妻も受け取ることができるのです。
「合意分割」と「3号分割」
では、具体的にどんな制度なのかを説明をしましょう。
年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。
■合意分割
「合意分割」とは、婚姻期間中の厚生年金を当事者間で分割するというものです。
当事者間というのは、夫と妻ですね。どちらか一方または双方が請求することで「合意分割」ができます。
その按分割合というのは、当事者の合意または裁判所の手続きで按分割合を決めることができます。(合意ができない場合には、裁判所で按分割合を決めることになります)
ここで、注意したいのが、請求期限です。原則、離婚した翌日から起算して2年以内です。重要なのでもう一度言います「2年以内」です!
この記事を読んでいる人で、すでに離婚をしていても2年以内なら大丈夫です。「年金分割」を請求することができます。
■3号分割
次に「3号分割」です。
国民年金第3号被保険者(つまり専業主婦)からの請求によって、平成20年(2008年)4月1日以後で婚姻期間中の夫の厚生年金を2分の1に分割できる制度です。
これには、当事者双方の合意は必要ありません。ですので、これを請求すれば、ほぼ自動的に半分の厚生年金を受け取ることができるのです。
これの請求期間も「合意分割」と同じ2年以内です。