はじめに

「人間は息するために生きてるんか。違うやろ」

「やりたいことをやるために、私たちはどう生きるか」はいつの時代も変わらない問いだと思います。特に最近は、「人生100年時代」と言われ、下手をすれば「会社の寿命」より「自分の寿命」のほうが長いかもしれない時代になってきました。そしてその会社を20年、30年と支えてきた価値観や制度、ビジネスモデルの賞味期限も切れはじめています。そんな社会のなかで、どう生きていくか。そういったことを考えたときに、思い出したいのはオムロンの創業者である立石一真氏の次の言葉です。

「企業は利益を追求するもんや。それは人間が息するのと同じや。そやけど、人間は息するために生きてるんか。違うやろ」
(『オムロン創業者 立石一真 「できません」と云うな』(湯谷昇羊著/ダイヤモンド社)

利益がなければ企業は存続できません。だからこそ企業は利益を上げようと、新商品を開発したり、販売に力を入れたり、業務の効率化を図るわけです。それは人間にとって空気と一緒で、利益は企業にとって存続するためになくてはならないものです。

しかし、ここでちょっと考えたいのは、「企業は利益を上げるために存在しているのか」ということです。企業はお金を儲けるためだけに存続しているのではないと、立石一真氏は考えました。では、なんのために企業は存続しているのでしょうか。

平たく言うと、世のため人のため、社会に貢献するために企業は存続しており、「儲け」とは、そのために必要な原資と考えたのです。つまり、企業というのは本質的に公器性を持っているということですね。そうした立石一真氏の考え方は、次のような「社憲」として、いまなおオムロンの一番大事な指針となっています。

われわれの働きで
われわれの生活を向上し
よりよい社会をつくりましょう

私たちは、それぞれの仕事で、世の中を楽しく変えることができる。そして、よりよい社会を創ることができる。私はそう信じていますし、イノベーションとは、そのためにあるものだと思います。

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