はじめに

エネルギー価格には更なる上昇圧力となる?

緊迫するウクライナ情勢は、現在マーケットの最大の関心事の一つであるエネルギー価格にも影響を与えます。ロシアは輸出額全体に占める資源の割合が高い資源国家であり、仮にロシアが侵攻を進めた場合はロシアからのエネルギー供給の停滞が予想され、原油価格・天然ガス価格の高騰の懸念があります。

原油価格に関しては上昇が続いています。2月に入りNY原油は1バレル90ドルを超え、さらにウクライナ情勢が緊迫した15日にはおよそ7年5ヵ月ぶりの95ドル台をつけました。その後はロシアの動向に合わせて90ドル近辺で推移していますが、場合によっては100ドルを突破するとの観測も出てきており、世界的なインフレが懸念されている中で上昇圧力に拍車がかかっています。投資の観点では、原油の先物やETFを取引することで利益を上げられる可能性もありますが、最近では価格変動も大きくなっており注意も必要です。

天然ガスに関しては、ロシアへの依存度が高いEUに対し、1月にはアメリカから前年同月比で4倍の輸出がされたことが判明したほか、日本もヨーロッパ向けに融通を予定するなど、事前にロシアをけん制するような動きが出てきています。一方で、各国の融通も長続きはしないものとされており、ロシアの侵攻が実施され経済制裁となった場合は、世界的に供給が弱くなることは避けらないと予想されています。

マーケットではウクライナ情勢の報道が優勢となっているものの、1月以降の値動きは米国の金融引き締め、利上げ観測によるものでした。資源価格の高騰は過熱しているインフレを持続させ、今年の利上げ回数の市場予想にも影響が予想されます。3月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げが予想されていますが、FRB高官の発言に対し相場も神経質になっています。米国の金融政策動向もウクライナ情勢と合わせて引き続き忘れてはいけないポイントとなります。

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