はじめに

全日本コーヒー協会によると、デカフェコーヒーの輸入量は2014年から急激に伸び、2017年1~7月では前年比114%を記録。

「生茶」「午後の紅茶」などの人気シリーズや、スターバックスなどのカフェで続々とデカフェ商品が発売されています。

“デカフェ”が選ばれる理由について探りました。


カフェインレス・ノンカフェインではなく“デカフェ”

ノンカフェイン・カフェインレス・カフェインフリーなど、カフェインを取り除いた商品はさまざまな呼び名があります。なかでも最近よく耳にするのが“デカフェ”です。

キリンビバレッジは先月、「午後の紅茶」シリーズから『ストレートティ デカフェ』を全国で発売。5月に発売された『生茶 デカフェ』に続き、2つ目のデカフェ商品になります。

スターバックスでは1月より、カフェインを99%以上除去した『ディカフェ スターバックス ラテ』の発売を開始。デカフェ商品が各社から続々と発売されています。

“カフェインゼロ”に比べて売れ行き2倍以上

人気シリーズから生まれた『生茶 デカフェ』の売れ行きについて、キリン広報の兵頭さんにお話を聞きました。

「『生茶 デカフェ』は、2014年4月に発売した『やさしさ生茶 カフェインゼロ』と比較して、2倍以上の売れ行きを記録しています。さらに、発売からわずか3ヶ月で、年間販売目標を6割以上を達成し、売れ行きは好調です」

「デカフェなのにしっかりした緑茶の味がしていい」「妊娠してカフェインを控えていたので、デカフェが発売されてうれしい」「カフェインゼロだから子供にも飲ませられる」など、消費者から歓迎の声が寄せられているそうです。

そもそも、なぜ、“デカフェ”という名称で新しく誕生させたのでしょうか。その理由について、兵頭さんは次のように話します。

「緑茶に“デカフェ”という言葉の組み合わせから、緑茶における新しいカテゴリーとして、独自価値が確立できると考えたためです。また、紅茶も“デカフェ”で発売し、キリンのデカフェシリーズとして展開することで、緑茶・紅茶における新しいカテゴリーとして定着させたい思っています」

デカフェが選ばれるのは“夜リラックスしたいとき”

デカフェ商品が好調の背景には、「カフェイン摂取を控えたい」というニーズがあるようです。

同社が行ったカフェイン摂取に関する意識調査では、妊産婦に限らず、約25%の方が「カフェイン摂取を制限するときがある」と回答。特に女性では3割以上がそう回答しています。

今まで胎児への影響を考慮した妊産婦や、代謝機能の弱い子供に需要のあったデカフェは、カフェイン摂取を控えたいという健康志向の高い人にも広がっているようです。

なかでもデカフェが選ばれるのは、夜、リラックスする時間帯だと兵頭さん。

「『就寝前』『夜、自宅でくつろぐとき』『ぐっすり眠りたいとき』に選ばれていることが当社の調査から明らかになりました」

就寝前でも、気にせずにコーヒーやお茶を楽しみたいと考えている人に選ばれているデカフェ。多様化するニーズに応えてくれるデカフェは、新しい選択肢としてじわじわと浸透しているようです。

>※消費者庁の公正競争規約では、カフェインレスは「カフェインを90%以上除去したもの」と定められていますが、デカフェ・カフェインゼロ・ノンカフェイン・カフェインフリーのカフェイン含有量については詳細に定義されていません。

(文:編集部 土屋舞)

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