はじめに
投資した時の元本までは保全されない
確かに、投資信託会社が破綻した場合、投資信託の組入資産は保全されます。ただ、投資信託は価格変動商品なので、投資信託会社が破綻した時、組入資産は保全されても、組入資産の資産価値がどうなっているのかは、すべてマーケット次第になります。
たとえば1万円の基準価額で購入した投資信託が6,000円に値下がりしたところで、運用している投資信託会社が破綻したとしましょう。この時、破綻した投資信託会社が運用している投資信託を引き継いでくれる投資信託会社が現れれば、投資信託会社は異なるものの、運用が継続される可能性が生じてきます。
しかし現実問題に目を向けると、すでにたくさんの投資信託を運用している投資信託会社からすれば、破綻した投資信託会社の運用を引き継ぐゆとりなど、ほとんどないでしょう。そうなると、破綻した投資信託会社が運用していた投資信託は、償還期日前でも繰上償還措置が取られることになります。
もし、1万円の基準価額で購入した投資信託が6,000円に値下がりしたところで繰上償還になれば、4,000円の損失が実現します。預金保険なら、預入元本が1,000万円を超えなければ、元本とその利息分は戻ってきますが、投資信託の場合、投資先となるマーケットの動向次第では、投資元本が毀損した状態で償還されてしまうのです。
つまり、投資信託の組入資産は保全されたとしても、その投資信託を購入した際の資産価値まで保全されるわけではないという点は理解しておいてください。