はじめに
審査項目1:完済時年齢・借入時年齢
多くの金融機関では、住宅ローンの完済時を80歳としています。住宅ローンを最長で組む場合は35年なので、35年の住宅ローンを組もうと思うのならば44歳ないし45歳がタイムリミットとなります。なお、完済時年齢が定年を迎える65歳を超えると、審査を通るのが難しくなります。安定的な収入がある現役世代と違い、60歳以降の収入や年金は、将来もらえる金額が把握しづらいからです。
では、年齢が若ければ良いのでしょうか。実はそうとも限りません。20代といえば収入が安定しない場合も多いものです。国土交通省の「令和2年度住宅市場動向調査報告書」によれば、注文住宅、分譲戸建て住宅、分譲マンションにおいては、住宅ローンと利用した世帯主の年齢は30代が最も多くなっています。
審査で重要な基準は、「一定して安定した収入がある人」。30代といえば、収入の安定と将来の方向性が定まり、住宅購入が視野に入ってくる時期です。返済上限ではなく退職までに完済したいのなら、頭金を確保して返済を有利にするか、44歳よりも早い段階で住宅ローンの借り入れをする必要があります。
審査項目2:健康状態
民間の金融機関では、団体信用生命保険(団信)に加入することが住宅ローンの条件になっています。住宅ローンを貸す側も返済してもらえないと、大きなリスクになります。長い人生のうちには病気やケガ、万一の死亡や高度障害に備えて保険に加入しておくほうが安心です。
団信に加入するには、健康状態が良好でなければなりません。年齢を重ねてくると、思わぬ病気が見つかることもあり、そうなってからでは住宅ローンを借りることができなくなります。団信に入ることが任意になっている住宅ローンもありますが、ローン選択の幅が狭まることになります。
審査項目3:勤続年数
勤続年数については、2年以上が多数派で、3年以上を基準とする金融機関もあります。転職は、以前くらべると珍しくなくなりましたが、収入の安定という面からすると、試用期間を過ぎないと労使ともに安心できません。転職したばかりの場合、住宅ローンを申し込む期間を1~2年おいたほうがよいと言えるでしょう。
自営業の場合には、会社員にくらべて審査が厳しいといわれています。過去3年分の確定申告書の提出を要求され、事業内容にまで審査がおよびます。審査が進んでくると、追加書類を要求されることもあります。
また、契約者の勤務形態は、安定した収入であるほうが貸す側からすれば安心です。契約社員やパート職員よりは、正社員のほうが審査では有利になるでしょう。