はじめに

「対比」か? 「排他」か?

2つめは、その文章が「対比」を表すものなのか、「排他」を表すものなのか、その違いで使い分ける方法です。対比の意味なら「は」を、排他の意味なら「が」を使います。

<例文3>
山本君 文化祭委員長で、清水君 生徒会長だ。
<例文4>
清水くん 生徒会長だ。

例文3は、清水君と山本君を対比しているので、助詞に「は」を用いています。一方で例文4の場合は、“(他の誰でもなく)清水くんが生徒会長である”という、清水くん以外を履い排他するという意味で「が」を用いています。

「判断文」か? 「現象文」か?

3つめは、「判断文」か「現象文」かの違いによる使い分けです。判断文とは、書き手の主観に基づいて判断を加えて表現する文章のことです。判断文の主格には「は」を用います。

一方、現象文とは、書き手の主観に基づく判断を避け、ありのままのの現象(出来事、状態など)を表現する文章のことです。現象文の主格には「が」を用います。

<例文5>
お酒 苦手だ。
<例文6>
お酒 運ばれてくる。

例文3は書き手自身の「苦手である」という判断を含む文章であり、例文4は目の前の現象をありのままに表現した文章です。書き手の主観的な意見や考えを含む時は判断文として書き、誰の目にも明らかな事実を記すときは現象文として書きます。

もっとも、本稿でお伝えした「は」と「が」の使い分け基準は “絶対のルール”ではありません。「は」と「が」で迷ったときは、これらの基準を参考にしながら、ニュアンスも含めてどちらがその文章にふさわしいか、丁寧に比較検討しましょう。「この助詞だとしっくりこない」という違和感に気づくセンスを磨くことが肝心です。

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(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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