はじめに

IPO株の申し込みポイント

IPOの手順では、「公開価格」が正式決定する前に、投資家の需要を見るため、公開価格の仮レンジが示され、投資家は申込期間内にレンジ内での価格と購入したい申込株数を申告します。この仮レンジ内での価格を申告する手続きを「ブックビルディング(BB)」と言います。ブックビルディングに申し込んだ人の中から抽選でIPO株が割り当てられます。

IPO株は、どこの証券会社でも買えるわけではなく、IPOする会社の「幹事証券会社」に口座開設し、申し込む必要があります。

幹事証券会社以外の証券会社からはIPO株は買えません。公開時の放出株数や、どの証券会社が何株の配分があるかは、目論見書やIPO情報サイト等で分かりますので確認しましょう。IPOする会社には、メイン担当の「主幹事証券」という証券会社が付いており、「主幹事証券」がIPO株の割り当ての大半を受けていることが多いです。

割り当て株数が多い証券会社の方が当選可能性も高いと言えますが、対面の証券会社は上顧客や上見込み顧客へ任意に配分する割合が多かったり、ネット証券は純粋な抽選割合が多かったりする傾向もありますから、有利不利を一概には言えない面もあります。

基本的にIPO株は人気があります。ただし、ブックビルディングの申し込みから当選できる確率は高くはありませんので、IPO株を狙いたい場合は、「主幹事証券」や「幹事証券」の証券口座を複数開設し、多くの証券会社へ申し込みを行うという手もあるでしょう。

ネット経由でしたら証券会社のサイト内に「新規公開株式」などのタイトルで取り扱いページが用意されていますから、ブックビルディング期間中に申し込みを行います。ブックビルディングというのは投資家の需要予測をして公開価格の決定に役立てるための手続きで、申込株数とともに、例えば1株1,200円~1,500円というように、株価が仮レンジで示されています。仮レンジのいくらで申し込みをすべきかですが、IPO株の入手が最大の目的の場合は、上限(上述の例の場合は1,500円)で申し込みましょう。決定した公開価格より下の価格で申し込みをしていると抽選から外れてしまいますし、優良なIPO株は上限で価格決定がされます。

なお、申し込み時には、購入金額の買い付け余力の口座残高が事前にないと申し込みができなかったり、抽選で漏れたりしてしまうというルールも証券会社によってはあるようなので、事前に証券会社へ確認したり、申込金額分の買い付け資金を証券口座に入れておくことが無難です。

ブックビルディング期間中に申し込みをした株数の範囲内で証券会社ごとに抽選が行われ、当選した人がIPO株を手にすることができます。当選後の購入手続きをしないと当選してもIPO株が手に入りませんから、スケジュールを事前に確認し、当落のチェックを忘れずに行いましょう。

IPO株の売買ポイント

晴れてIPO株を入手できたら、通常の株式投資での売却手続きと同様です。

IPO後、初めて市場で付いた値段を「初値」と言い、新規上場のニュースでは必ず「初値がいくらになった」という解説がされます。ほとんどのケースでは「初値」が「公開価格」を上回り、その比率を「初値騰落率」と言います。

何倍だったかがよく話題になりますが、上場後の株価推移は分からないので「初値」で売却したい場合は、上場日にIPO株を「成り行き」で売り注文をしておくことで初値で自動的に売却が可能です。

初値の時点では、市場での合理的な株価形成というよりも、IPO株の人気や株式の需給要因が大きく左右します。初値騰落率は以下のような要素が総合的に重なる場合に高くなる傾向があります。

・公開価格の株価水準が高すぎない
・人気が付きそうな業種や人気企業(注目分野の事業をしている会社、上場前から知名度があります)
・増資あるいは売り出しによる上場時の流通株が少ない(流通株が少ないということはIPO株の入手が困難になります)
・公開価格での時価総額規模が小さい(数十億円~数百億円)
・IPO時の既存株主には売却制限(ロックアップと言います)が任意で掛けられますが、ロックアップの縛りが幅広い(ロックアップが緩いと売り圧力で価格が抑えられます)

また、IPOから間もない期間は市場が適正株価を見い出しづらいため株価変動が非常に大きくなりがちです。

IPO株が抽選で当たらなくても、将来有望と見たIPO会社の株が上場後の数ヶ月程度の期間では思わぬ安値で取引されることもあるかもしれません。IPO時に市場で購入しても、その後の企業成長で、長い期間では数倍・数十倍の株価に成長する会社がありますから、そのような会社を見つけていくこともIPO投資の醍醐味と言えるでしょう。

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