はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。
現在、会社員をしつつ、都内で不動産投資を始めて3年が経ちます。新築アパート1棟(6戸)を購入しました。無事、黒字化を続けて、毎年納税申告を行っています。今後、2棟目、3棟目と続けていきたいと考えていますが、銀行融資を受けるにあたり、最近の金利や銀行ごとの状況を加味して、よい条件で融資を引き出すポイントやコツを教えていただければと思っています。
【資産状況】
・年収1,200万円
・不動産デベロッパーにて勤続15年
・現在用意できる自己資金500万円(1年経過ごとに300万円増加します)
・1棟目の残債は残り22年ローンで4,000万円
・自宅の残債は残り33年ローンで3,600万円
(40代前半 既婚・子供あり 男性)
内藤: 銀行の融資は、不動産市況や銀行の業績、さらには金融政策によって変わってきます。
投資用の不動産については、自己資金ゼロのフルローンで融資がつくこともありますが、審査が厳しくなれば融資比率は下がっていきます。
融資を引き出すのに必要なもの
銀行が融資金額を決める際に重視するのは、既存の不動産の賃貸状況です。
個人で購入する場合
個人で購入する場合は、今まで購入した物件の収支状況を説明できるようにしておきましょう。また勤務先の状況が重要になりますので、会社の概況や勤続年数、年収などのデータもそろえておく必要があります。
法人で購入する場合
法人で購入する場合は、法人の過去3年分の経営状況がチェックされます。
黒字決算を続けて、事業が好調であることがわかれば、銀行からの信用度が高くなります。また、実質的に個人の資産会社になっている場合、個人と法人は一体としてみなされますので、個人の収支についても確定申告などのデータで説明できるようにしておきましょう。
銀行融資については、金融機関によって、また担当者によっても微妙に条件が変わってきたりします。
メガバンクで借りるよりも、地域の金融機関のほうが審査が柔軟なケースもありますし、ノンバンクなどを使えば金利は高くなりますが、融資の条件は銀行に比べれば緩和されると思います。また政策金融公庫などの公的な金融機関を利用すれば、低金利の融資制度を活用できることもあります。
信用を高めるためにメインバンクをひとつに決める
ただし、あまりたくさんの銀行とお付き合いをしても、信用を高めるのが難しく、管理の手間がかかります。
メインとしてお付き合いする銀行を吟味して選び、当面はその銀行を中心にお付き合いしていくほうが、銀行サイドからみても、安心できる融資先ということになります。
銀行の融資担当者から見て、安心できるという信頼感を与えられるようになれば融資の条件も変わってきます。
相談者の場合、自宅のローンもありますので、借入ができない場合には自宅を売却するという選択肢もあると思います。
全体のローン残高が下がれば当然のことながら、借り入れはしやすくなります。