はじめに
得意なことと苦手なことを明確にする
キャリアの棚卸しをする際に、もうひとつ大事なポイントは、自分の得意なこと・苦手なことを明確にすることです。
企業の昇格試験で合格する人を見ていると、得意なことを伸ばし、苦手なことは極力マイナスにならないように気をつけ、他の人にカバーしてもらったりしています。
下記のマネジメントの図でいうと、縦軸(タスクマネジメント)と横軸(ヒューマンマネジメント)のどちらかが苦手であっても、マイナスにならないように気をつけてさえいれば、プラスの面積を広げ、一定の影響力を発揮できます。
ところが、縦軸・横軸のどちらかがマイナスに振れてしまうと、「あの人、いい人なんだけど、仕事できないよね」や「あの人、仕事はできるけど、一緒に仕事したくないよね」という状態になり、「いらない人」候補になってしまいます。苦手なことを自覚し、致命的なマイナスにならないように努力するのは非常に重要なことなのです。
僕の場合で言えば、段取りを組むことが苦手です。行き当たりばったりが好きで、電車の時間を調べるのすら面倒くさがるタイプです。行けば何とかなると思っています。
計画を立てるのも好きではないのですが、それでは仕事にならないので、人事部長になった頃から「ちゃんと計画を立てないとダメだな」と考えるようになり、今でも得意とは言えませんが、嫌々ながらも計画的に仕事をするようにしています。
細かいチェックも苦手で、品質チェックが甘くなりがちです。これは致命傷になりかねないので、自分でも気をつけながら、メンバーにも協力してもらって、ダブルチェック、トリプルチェックの仕組みをつくり、致命的なミスが出ないようにしています。
ビジネスパーソンにとって、弱みを自覚し致命傷にならないように気をつけるのは重要なリスクマネジメントです。「もう50歳だし、今さら変えられない」と開き直ったりせず、ダメな点は変える努力をしましょう。それが大人になるということではないでしょうか。