はじめに
長期投資できないESG投信もある
もう1点、償還期限についても触れておきましょう。
ESG投資は、持続可能な世界を実現するために、企業が環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)という3つに配慮した経営を行うことによって、企業そのものの長期的かつ持続的成長につながるという考え方です。
つまりESG投信は、企業の長期的かつ持続的成長に対して投資する投資信託であると考えることができます。そういう投資信託の償還期限をどう考えるべきでしょうか。
できれば、償還期限の設定はないに越したことはありません。長期投資が前提になるのだから、それは当然のことでしょう。
しかし、実際に今、設定・運用されている投資信託の信託期限を見ると、償還期限を設定していないESG投信は93本で、全体の41%を占めるだけに止まっています。
では、他のESG投信の償還期限はどうなのかというと、
10年超……49本(22%)
10年以下……60本(27%)
5年以下……23本(10%)
という結果になりました。10年超はまだしも、償還期限を5年以下に設定しているESG投信が23本もあるというのは、ESGの本当の意味を理解して商品設計をしているのかどうか、いささか疑問に感じるところがあります。もしESG投信を購入するのであれば、まずは償還期限の有無がファンドを選ぶ際の基準になるかも知れません。
「ESG投信」というと、何やら漠然と良いイメージが先行しやすいのですが、なかにはESGを謳って手数料稼ぎをしているのではないか、と思われるようなものが混じっている恐れがあるので、注意が必要です。