はじめに

(2)元配偶者との間に子供がいる

離婚し、元配偶者が子供を引き取って育てている場合、戸籍上は元配偶者の戸籍に入っていても子供の父(母)の欄には、親の名前は変わらず記載されています。子の親であることは一生変わらないのです。再婚した新たな配偶者との間にできた子も、元配偶者の子も自分の子です。

遺言書が無い場合、相続が起こると、どちらの子も相続人として同じ権利を有します。つまり、遺産分割協議をしなければ財産を動かすことができません。子は、会ったこともない可能性の高い元配偶者の子を探すことからはじまります。居所が分かったところで、事情を話し遺産分割協議をするのは非常に精神的な負担をかけることになることが想像されます。また、遺産分割協議に協力してもらえるのかどうかもわかりません。もし、遺産分割協議に協力しないと言われてしまうと、すべての財産が凍結したまま動かせないことになるのです。

【遺言書を作成すると】
「(1)子供がいない」にあったように遺言書に「今の妻(夫)の子へ財産を相続させる」と記載した遺言書があれば前妻(夫)の子との遺産分割協議は必要ありません。遺言書によって財産を移転することができるのです。

(3)行方不明、疎遠な相続人がいる・(4)海外に在住している相続人がいる

(3)行方不明、疎遠な相続人がいる
この場合も相続人を探して遺産分割協議をしなければならず、探せたとしても協力してもらえるかどうかわかりません。

(4)海外に在住している相続人がいる
この場合は、家族関係が良好であり、遺産分割協議に関して協力的で何も問題ないことも少なくありません。しかし、手続き面で負担になることが多いため、相続手続きをスムーズにするために遺言書作成を勧めることがあります。相続人で日本国内に住民票がない場合、遺産分割協議の際に必要な印鑑登録証明書を取得できません。「サイン証明」と呼ばれる証明書を印鑑登録証明書の代わりに利用することになります。サイン証明は海外の在外公館に出向き在外公館にて領事の面前にてサインを行い、そのサインが確かに本人のものである証明になるものです。サイン証明の取得に手間がかかりますし、「遺産分割協議書」という、決まった財産の分け方を書面に起こし署名押印する書類がありますが、その書類のやりとりも海外となると日数もかかり大変です。

【遺言書を作成すると】
上記のような手間を省くために遺言書で財産の分け方を記載しておくと海外との遺産分割協議のやり取りを省略することができるのです。また、財産の移転もスムーズに行えます。

[PR]NISAやiDeCoの次は何やる?お金の専門家が教える、今実践すべきマネー対策をご紹介