はじめに
レシート・領収書がなくても認められるケース
この世の中の支払いにはレシートや領収書が発行されないものもあります。結婚式でお祝いを払ったり、お葬式で香典を払ったりした場合、会場で「領収書ください」なんて言えないですよね。結婚式やお葬式では、金額が書かれていないがそれ以外の「支払日・どこに払ったか・内容」が書かれたものがあるはずです。
例えば、結婚式の招待状や出席時にもらったカード、お葬式なら参列時に頂いたお礼状などです。この招待状やお礼状に、その時支払った金額を記入するだけで、領収書に記載すべき内容が出揃うことになりますね。
また、よく質問いただくのは「電車代・バス代」です。切符を買って電車に乗った場合は、改札を出る際に「領収書をください」と言うと回収されるべき切符に、使用済みのハンコを押して渡してくれるので、それを領収書として使用することができます。しかし、こんな人がいっぱいいたら、電車の改札口が領収書をもらいたい人でいっぱいになってしまって大変ですよね。
そこで登場するのが「出金伝票」というアイテムです。100円ショップなどにも売っていて、手軽に手に入れることができます。この出金伝票に乗車した日付と行き先、どんな交通経路で行ったのか、そして金額を明記することで、経費として認められることになります。ICカードで乗車した場合は、そのICカードの乗車履歴(利用履歴)を印刷することで、代用することができます。
他にもレシートや領収書が発行されないケースがあるかもしれませんが、初めに言った記載が必要な事項が書かれていれば大丈夫ですので、「日付・支払先・内容・金額」を意識して、領収書集めをしてみましょう。
プライベートとの按分(あんぶん)について
レシートなどを確認していると、事業をするうえで支払った経費と一緒に、事業主のプライベート用に購入したものが混在しているケースがあります。その場合は、プライベート分が経費に入ってしまわないよう、上手く分けていくことが必要です。
例えば、スーパーで食材や日用品を買ったついでに、仕事で使うノートやファイルも一緒に買ってしまった場合、「わーん、トイレットペーパーとか大根と一緒にノート買ってしもうた〜!」と言って、レシートをくしゃくしゃポイと捨ててしまうなんて、それこそ嘆かわしいですよ! わざわざレシートを分けてもらわなくても、「このレシートの中で事業用の経費はこれですよ」というのが分かるように、その項目に丸印をつけてください。それをするだけで、プライベート混在レシートがあっという間に事業用のレシートに早変わり、正しく経費を上げて帳簿をつけることができるのです。
では、自宅兼事務所の家賃や、仕事とプライベートの両方で使うスマホや電話料金などは、どうすれば経費として認められるのでしょうか? これも、仕事分とプライベート分を正しい割合で分けることで、経費の計上が認められます。この時重要なのは「客観的に認められる割合」で計算するということです。
家賃の場合は、自宅兼事務所の面積のうち、仕事で使っている部分の面積の割合。またそのスペースを1日のうちの半分はプライベートで使っていると言うのであれば、さらに半分という割合で按分計算します。50㎡の家10㎡を仕事に使っていて1日のうちの半分が仕事の利用である場合は、下記のように計算します。
(10㎡/50㎡) ÷ 2 = 1/10
つまり、1/10を事業用の家賃として経費にあげることができる、ということです。
携帯電話や固定電話の通信費の場合は、初めの1ヵ月でも構いませんので通話履歴を取ってみてください。仕事で使った時間とプライベートで使った時間を合計し、そのうち仕事で使った時間がどれくらいだったかという割合を出して、客観的に認められる割合として按分計算に使ってください。通話履歴をとることで、自分で適当に決めた割合ではなくて「客観的な割合」と言えるようになります。
家族と共用しているWi-Fiの利用料であれば、家族全員が1週間のうちどの時間帯にどのくらいWi-Fiを利用しているのか、スケジュールを確認して全員の利用時間のうち自分の事業用に使っている時間を利用割合として按分に使いましょう。