はじめに
プライベートと経費を分ける方法
「自宅兼事務所の家賃」のように、一部がプライベート、一部が事業用のものについても、経費にあげることができます。この時の注意点は、「誰がどうみてもこの割合で事業用に使っているよね」といえる「客観的な割合」でプライベートと経費を分けるということです。
よく、「白色申告の人はプライベートが半分以上占めているものは経費にできないから不利ですよね」と言われていますが、所得をゲットするための業務遂行上に必要な部分について、法律上はこうなっています。
この「ただし、〜」から後ろがポイントです! 事業用に使っているのが半分以下だったとしても、「必要である部分を明らかに区分」できれば、経費としてオッケーということです。青色さんも白色さんも、「明らかに区分」するのです。
例えば、自宅兼事務所の家賃なら、その面積で「仕事専用のスペース」の面積を求めて割合を出してください。電話代なら1ヵ月でもいいので、通話履歴を取ってみてください。プライベートで何時間話して、仕事で何時間話したのか記録を取って、「明らかな区分」ができる割合を求めましょう。
経費として認め難いのは、「う〜ん、なんとなく半分ぐらいかな〜」と自分で適当な割合で経費を上げている場合です。正当といえる「明確な割合」を出すことで、税務署がチェックに来た時も「このような計算根拠で割合を算出しています」と説明できれば、経費として認めてもらえることになります。さぁ、「客観的に認められる経費の割合」を探し出す旅へ出ましょう!
青色申告の条件
青色申告はキッチリ複式簿記という方法で帳簿をつけている分、税金の優遇があります。この優遇を受けるための条件は、以下の3つです。
(1)期限内に青色の承認申請を出している
(2)複式簿記で帳簿をつけている
(3)確定申告書のときに「青色決算書」という4ページの書類を提出している
ちなみに(3)について、白色申告の人は「収支内訳書」という2ページの書類です。青色の人が毎月の売上や仕入を1年分書かなければならないのに対し、白色の人は月ごとの売上などは不要な代わりに、どんな取引先があるのかを書く様式になっています。青色で必要な「貸借対照表」という、「事業に関する財産の一覧表」を作成しなくても良いという点も違います。
上記3つの条件をクリアすることで、下記の5つの制度が使えるようになり、税金の優遇を受けることができます。こちらは次回、詳しく解説しますのでお楽しみに!
- 青色申告特別控除(55〜65万円引いてもらえる)
- マイナスの3年間繰越控除(赤字分を儲かったときに引ける)
- 青色事業専従者給与(家族への給料)
- 貸倒引当金(未回収の売掛金に備えてリスクを経費計上)
- 少額減価償却資産(30万円未満の資産を経費に)
開業費を出した後どんなことが起こるのか、少しずつわかってきましたか?
確定申告は「怖い」「しんどい」「嫌い」と嫌なイメージしかない方が多いですが、正しい知識があれば、スムーズに申告ができて、自分の通知簿を作るように楽しめると思いますので、事業を始めるタイミングでしっかりと知識をつけておいていただきたいです。