はじめに

日本も「総合経済対策」を発表

日本も「緩和と引き締め」を同時に行っている英国と状況が似ているため、「日本は大丈夫か?」「一段と円安が進むのではないか?」と質問をよく受けます。

岸田総理は「総合経済対策」を打ち出し、国民の生活をサポートしています。財政出動は国の財政状況を悪くすることがありますが、現状、日本政府は国債発行ではなく、主に予備費の範囲内で、物価対策を行っています。また、所得税・法人税の減税も行っていない点は英国とは異なります。

最後に、英国と日本を比較した際に最も異なる点に言及します。

日米の金利差拡大による円安基調はまだまだ継続ですが、イギリスのような財政状況懸念からの円安には限界がありそうです。なぜなら、英国はアメリカに次ぐ世界第2位の「対外純債務国」で、債務残高は2021年末時点で113兆7,000億円、つまり借金国です。

一方で、日本は世界第1位の「対外純資産国」で、日本の対外純資産は2021年末時点で411兆1,841億円です。簡単に言えば、英国は借金(債務)が多く、日本は貸金(債権)が多いため財政状況は全く異なります。

単純にイギリスと日本は似ているから−−しかも、なんとなくやっている政策が似ているから、という感覚だけでは、本質的な状況は把握が難しいです。

国の債権・債務のバランスや、経常収支が「黒字」であることなどを踏まえて国の力を考えると、意外と日本の財政状況は強固だということが分かります。

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