はじめに
お笑い芸人さんのインボイスの反応は?
──かじがやさんご自身や周りの方からは、インボイスについてどんな反応がありますか?また、かじがやさんは税理士としても活躍されていますが、芸人の方などからインボイスについて相談されることはありますか?
かじがや:大前提として、私の所属する吉本興業では、芸人が個々に営業して売り上げを出しているわけではなく、吉本興業から報酬が入ってくるので、吉本興業からインボイス対応して欲しいという依頼がない限りは芸人側から何かすることはありません。
消費税を抜いた分だけ払うようにするのか、またはインボイス対応している芸人にだけ今まで通り払うようにするのか、もしくは吉本興業が全額負担してくれるのか(笑)。吉本興業が所属芸人に対してまだどちらの対応にするかは分かっていないので、よしもと芸人に限っては誰もインボイスのことを気にしていません。(※対談時2022年9月現在)
小島:おそらく、吉本興業さんに限らず多くの企業さんが決めあぐねている状況なのだと思います。また、今のお話を聞いていて思ったのが、吉本興業さんは所属の芸人さんが課税事業者になっているかどうかをすべて把握できていると思います。そうなると、免税事業者の場合は税金分の支払額を減らすなどある程度調整がきくと思いますので、ギャラの支払い時にお互い損をしない金額を設定してくるイメージですね。
かじがや:ほかの事務所の方ともお会いする機会はありますが、今の所インボイスの相談は来たことがないですね。導入までまだ1年ほどの猶予があるので、このあとの流れや周りの動きを見ているのかもしれません。ただ、ギャラを支払う側としてはインボイスに登録して欲しいと考えていますので、企業側からそういったアプローチをしてくるのではないかと思います。
小島:独占禁止法や下請法といったような受発注関係の法律である程度の規制がかかるので、一方的に価格を下げるとか、契約内容を決めるような通達をすることはできません。あくまで当事者同士で話し合いをした上で、発注元の会社から方向性に応じた対応がされると思います。
ただ、独占禁止法や下請法の関係があるため、発注元の会社のような立場の強い側の方が言い出しづらいのがインボイス制度の難しいところかもしれません。