はじめに
ところで、この手の詐欺的な投資案件を扱っている会社は、恐らく誰も名前を聞いたことがない会社だと思います。
すでに摘発された事例なので、ここでいいますが、私がかつて取材した先だと、グース&グリドアイアン(G&G)、エンジェルファンドネットワーク、GMBインターナショナル、日本プライベートバンキングコンサルタント(JPB)、MRIインターナショナルなど。いずれも社名など一度も聞いたことがない、というようなところばかりです。
そうであるにも関わらず、なぜお金を集めることができたのでしょうか。
ちなみにMRIインターナショナルという会社は、1300億円あまりの資金を集めました。まったく名前を聞いたことがない投資会社に、なぜそれだけの集金力があったのか。その要因のひとつが、「広告塔」の存在です。
年6.0~8.5%という高利回りを保証していたことも要因のひとつですが、もうひとつ大きな要因が、「広告塔」の存在です。こういった会社は信用力を補完するために、芸能人をはじめとする著名人を広告塔に使っていたのです。
具体的には、顧客向けに発行していた情報誌の表紙を著名人が飾り、かつインタビュー記事なども掲載したものや、元芸能人と社長との対談を広告に掲載していたケース、食材のオーナー商法では有名料理人が広告塔に使われていたケースもありました。
名前を聞いたこともない会社が、芸能人を広告に起用して宣伝をしているような場合は、詐欺を疑った方が良いでしょう。
詐欺が明らかになったとき、広告塔になった人は、「こんなことになるとは知りませんでした」、「私も騙されていました」などと言い逃れをするのですが、犯罪に加担したことに変わりはありません。誰が仕事を取ってきたのかは知りませんが、きちんと調べれば、怪しい業者かどうかは分かりそうなものです。それを怠ったがために、著名人が広告に出ているからと信用してお金を出した人たちが騙されたのですから、詐欺に加担したと非難されても仕方がないでしょう。
最近、この手の広告塔については、もう少し巧妙になっている感があります。それについては次回、詳しく説明します。