はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。
19歳の大学生です。来月に20歳を迎え、年金なども始まります。現在、漠然とですが、お金に対して不安を抱いています。これからの超高齢化社会では、一人の若者が数人の高齢者を支える構図になると聞いて心配です。学校では、お金や資産の扱い方については教えてもらえません。家庭で聞くこともできますが、私は自身の家庭について「人並み以上に裕福であるとは言えない」と感じています。ですので、両親とはまったく違う方向性の現代の金銭的な感覚を学ぶべきなのではないかと思っています。
こういった背景から、私は実用的なお金の知識を求めています。ティーンエイジャーまたは二十代の、これから仕事を見つけていく若者が資産設計していくにあたって読むべき本や、お金のプロの方の推薦書はありますか? また、今後すべきことなどがあったら教えてもらえるとうれしいです。
(10代後半 独身 男性)
深野 :ご質問ありがとうございます。学生のときからお金に関する勉強をされることは、とてもよいことですね。
まずは国民年金の「学生の納付特例制度」の手続きを
勉強の前に、来月には20歳になられると記載されていることから、まず国民年金の「学生の納付特例制度」の手続きをされてください。
国民年金は満20歳から加入することになっていますが、学生の場合、手続きをすることにより国民年金保険料の納付が免除されるからです。
手続きは、市役所や区役所で行いますが、在学する大学が「学生納付特例事務法人」の指定を受けていれば、大学の窓口でも申請を行うことが可能です。
この特例の期間は老齢基礎年金の受給資格期間に算入されますが、保険料は免除されるものの、後から追納しないと老齢基礎年金の額の計算の対象には含まれません。追納は、納付特例の免除を受けた月から10年以内となっています。
それでも手続きを行った方がよい理由は、特例期間中(在学中)の事故などで障害者になった場合、障害基礎年金を一生涯受け取ることができるからです。
簡単にいえば、国民年金保険料を払わなくても、もしものときの保障を得られることになるからです。
おすすめは本よりもFPの資格取得
一方、読むべき本、推薦書については、残念ながらこれがおすすめという本は思い浮かばないですね。
なぜなら、ご質問者が思い浮かべているようなお金周り全般を体系的に学べる本が出ていない(出してもあまり売れないらしい)からです。
少しお金がかかってしまうかもしれませんが、体系的にお金に関する勉強をされたいなら、ファイナンシャル・プランナー(FP)の資格を取られてはいかがでしょうか。
資格には、1級から3級までありますが、日常の生活全般に対応するのであれば3級レベルで十分でしょう。興味があったら2級まで取得されてもよいでしょう。
将来、金融業界などに就職するならファイナンシャル・プランナーの資格取得は必須となりつつあります。
学生時代に取得していなくても、金融業界に入れば取得を義務づけられるばかりか、昇進の条件にFP資格2級以上保持としている会社も存在します。
金融業界に就職しなくとも、お金に関する知識は一生涯のものになるでしょうから、費用対効果は見合うと思われます。
そのほか日常的にできることとして、日本経済新聞を読むことや金融機関やメディアが主催するセミナーに参加されてはいかがでしょうか。
最初は内容を理解できないかもしれませんが、継続しているうちに徐々に理解でき、また、さまざまなセミナーに参加することで、物事の本質を見る目が養えるはずです。
まだ、大学生ですから継続は力なりと考え、自分のペースで徐々に始められてください。