はじめに
税制改正大綱とは
なお、現在のように与党の政党が2つある場合は、双方の意見を擦り合わせる「与党税制協議会」があるそうです。この与党税制調査会で、今年の税制改正はこんな風にしよう、というのがある程度決まり「与党税制改正大綱」というのが作られます。「大綱(たいこう)」とは、事柄の根本となる骨組み、つまり、法律の改正の元となる骨組みを作るということです。「おおづな」と読んでた、ですって? なんて……嘆かわしい!
与党税制調査会が作った「与党税制改正大綱」を踏まえて、与党が作った「税制改正の大綱」が閣議に出されます。閣議で決定した「税制改正の大綱」にをもとに、国税の改正法案については財務省が、地方税の改正法案については総務省が作成し、通常国会に提出されます。
国会では、衆議院と参議院のうち、まず先に改正法案が提出された議院において審議され、本会議に提出された後に両方の議院で可決されれば成立となります。この衆議院と参議院の審議は、それぞれ衆議院なら「財務金融委員会」、参議院なら「財政金融委員会」または各議院の総務委員会で審議をされてから、各本会議にかけられます。一方の議院で可決され、もう一方の議院でも同様に可決されると、改正法案は成立し施行されることになるのです。
例えば2022年度の税制改正大綱に基づいて作成された「所得税法等の一部を改正する法律案」は、2022年1月25日(火)に国会に提出され、3月22日(火)に成立、3月31日(木)に公布されました。早いものは翌日の4月1日(金)から施行されました。
なお、2023年度の税制改正要望では、下記などが出されています。
日本の家計金融資産 2,000 兆円のうち、その半分以上が預金・現金で保有されている。この結果、米国では20年間で家計金融資産が3.4倍、英国では2.3倍になっているが、日本では1.4倍である。
家計の保有する金融資産を拡大していくためには預金として保有されている資産が投資にも向かい、持続的な企業価値向上の恩恵が家計に及ぶ好循環を作る必要がある。 このため、個人金融資産を全世代的に貯蓄から投資にシフトさせるべく、NISA の抜本的な拡充その他所要の措置が必要である。
人生 100 年時代を迎え、老後生活に向けた資産形成はもとより、医療などのニーズへの自助による備えが一層重要になっている。加えて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大下において、自身や家族のために病気や死亡等のリスクに備えることの重要性が再認識された。
こうした状況下において、生命・介護医療・個人年金保険が持つ私的保障の役割はますます大きなものとなっている。生命保険料控除の拡充は、様々な要因により経済の先行きに対する不透明感が高まる中においても、将来に向けた保障や資産形成への備えを継続する一助となり、ひいては、国民の相互扶助を後押しし、国民生活の安定及び国民経済の健全な発展に資することとなるため、制度の拡充が必要である。
(1)自動車業界は CASE に代表される 100 年に一度ともいわれる大変革に直面している。世界的な脱炭素の動きを受けた電気自動車の急速な普及、内燃機関自動車に対する規制の強化、ネットワークに接続した自動車を中心とする自動運転技術の飛躍的向上などの動きに代表されるこの大変革に対応できるか否かは単に一産業の問題ではなく、日本の経済・雇用を大きく左右しかねない極めて重要な課題である。
〜中略〜
(6)上記を踏まえ、2050 年カーボンニュートラルの実現を見据えたクリーンエネルギー戦略(中間整理)に基づくロードマップの実現への貢献、将来のモビリティー社会像を見据えつつ、自動車関係諸税のあり方について、高齢者の免許返納の加速や人口減少等に伴う地域課題の深刻化、税制の簡素化等の視点も踏まえた検討を行う必要がある。
詳細や他の要望を知りたい方は財務省「令和5年度税制改正要望」、ならびに総務省「令和5年度 税制改正要望」をご覧ください。