はじめに
■電気代 2023年は約10~20%値上げとなる可能性あり
電気代などが含まれる光熱費は、天然ガスや石炭、原油など燃料代の高騰や、急激な円安の影響を受けます。実際に、2022年末には、東北電力や中国電力など電力大手5社が、電気料の規制料金について値上げすることを国に申請しました。
それぞれの平均値上げ率は、東北電力が32.94%、北陸電力が45.84%、中国電力が31.33%、四国電力が28.08%、沖縄電力が43.81%であり、最終的な認可が下りるまでには4か月程を要します。実際の光熱費の値上げとなる4月以降から、家計に大きく影響を与えることになるでしょう。
しかし、経済産業省の発表によると「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により2023年1月から電気料金やガス代など、規制料金から約20%の値引きが行われます。そのため、先述した30~40%ほどの値上げ率がそのまま家計の負担となることはなく、約10~20%にとどまると考えられます。
以上の値上げが、単身世帯から4人家族世帯の家計に対し、どのくらいの負担が増えるのか、みていきましょう。
出典:電気・ガス価格激変緩和対策の実施のため、電気・ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いました(METI/経済産業省)
■2人以上世帯の値上げによる家計負担増はいくら?
食品や光熱費などの値上げによる家計への支出増の数字について、みずほリサーチ&テクノロジーズの試算によると、政府によるさまざまな物価高対策の対応も含めた場合、2人以上の世帯の負担額は、前年よりも平均で9万6368円増えると試算しており、大まかな内訳は次のとおりです。
【2022年の負担増の内訳】
・食費:年4万6411円増
・エネルギー費:年2万2418円増
・その他:年2万7539円増
●食料・エネルギー等の家計負担増額一覧(2022年度)
2023年分の1年間あたりの増加は、3万9750円と見込んでおり、内訳についても次のとおりです。
【2023年の負担増の内訳】
・食費:年2万8693円増
・エネルギー費:年▲8812円減
・その他:年1万9870円増
エネルギー費に含まれる費用は、電気代以外に、ガソリン代も含まれています。電気代やガソリンのもとになる原油は、2022年10月~12月の1ドル=147円に比べ、2023年は1ドル=130円前後で円高に進展していること、欧米の景気減退により下落傾向にあります。また、政府によるガソリン代価格の激変緩和措置、電気代・ガス代抑制策などの総合経済対策の効果による抑制効果もあり、2022年に比べると、エネルギー費はマイナスになります。
●食料・エネルギー等の家計負担増額一覧(2023年度)
原油価格の下落、円高に推移、政府による経済対策など、諸々の効果が重なり、2022年度の家計費負担増と比べれば2023年度の家計への負担は少なくなります。2023年の値上がりする項目は、食費、その他に含まれるサービス分野(外食や宿泊費)などです。
食費は、先述したように今後も値上げが続くためです。その他に含まれるサービス分野(外食や宿泊費)については、コロナの行動制限がなくなりつつあり、対人サービス・インバウンド需要の増加となりますが、人手不足になっている業種です。そのため、求人・採用などの人件費が上昇して、値上げにつながります。
一方、エネルギー費は、電気代・ガス代の値上げもありますが、ガソリン代が下がること、政府対策などがあり、2022年度よりも緩和されます。とはいえ、年3万9000円、1か月あたりでは3250円の負担が増えます。