はじめに

米国の大手調査会社であるユーラシア・グループが毎年、年初に1年のリスクについてまとめていることをご存知でしょうか? 投資業界では有名だと思うのですが、一般的にはあまりニュースで見ることがないように思います。

投資では“対処”がとても大切なので対処力を高めるためにリスクを知り、リスクが現実のものになってしまった時に上がりやすい銘柄を押さえておくことも戦略の一つですし、投資をしていなくても、私たちを取り巻く環境でどのようなリスクがあるのかを知っていることは大切だと思います。

今回は米国の調査会社ユーラシア・グループが1月3日(火)に発表した2023年の世界の10大リスクとリスク1位の関連銘柄、加えてユーラシア・グループが挙げている日本が受ける影響ついても紹介します。


ユーラシア・グループが発表した2023年「世界10大リスク」

ユーラシア・グループは、1998年から毎年、年初に政治や経済に深刻な影響を及ぼす世界の地政学リスク(地理学と政治学のリスク)を予測していることで有名な世界最大の政治リスク専門コンサルティング会社です。そのユーラシア・グループが発表した「2023年10大リスク:最も重要な地政学リスク・トップ10」を見ていきましょう。

リスク1位は「ならず者国家ロシア」。ロシアについてユーラシア・グループは、ウクライナに対する戦争が思うような結果に結びついておらず、その屈辱から世界で最も危険な「ならず者国家」へと変貌し、世界全体にとって深刻な安全保障上の脅威になると予測しています。

世界の防衛費は今後も増加する見通しとなっていますし、グローバリゼーションの終焉、世界の分断が静かに始まっており、予期せぬ地政学リスクというのがこれからも起こってくるということは頭に置いておく必要があるでしょう。

長期的にも防衛関連銘柄の投資妙味性が出てきている、という見方もできそうです。防衛関連銘柄についてもお伝えしたいと思います。

ロッキード・マーティン【LMT】

弾道弾迎撃ミサイルやイージスシステムの開発、世界最新鋭のステルス戦闘機でも有名な、世界最大の軍事企業のロッキード・マーティン。防衛関連と聞いて最初に名前があがる、王道企業といえます。

高い技術力が強みで、主な顧客が米国防総省や他国の政府となっており、世界各国が軍事費を増やすと恩恵が見込めますし、多くのETFにも組み入れられている銘柄でもあります。NASA(アメリカ航空宇宙局)などの機関に製品を提供している宇宙関連銘柄でもあり、安定したキャッシュ・フローに基づく増配継続も強みと言えるでしょう。

ゼネラル・ダイナミクス【GD】

ゼネラル・ダイナミクスは、軍事重機のコングロマリットで米国を代表する軍需企業のひとつ。45ヶ国以上に拠点を置き、装甲戦闘車両、指揮統制システム、原子力潜水艦の領域にまたがるビジネスを展開しています。ビジネスジェットのガルフストリームでも有名で、原子力潜水艦、宇宙防衛などのほか、防衛関連のITも手がけており、防衛関連の本命のひとつだといえます。

レイセオン・テクノロジーズ【RTX】

レイセオン・テクノロジーズは、軍事大手のレイセオンと航空宇宙系の複合企業であるユナイテッド・テクノロジーが合併して誕生した航空宇宙及び防衛分野の機械機器メーカーのコングロマリットであり、世界2位の国防大手、軍事企業です。

米国内での売り上げが多くを占めており、主な取引先として米国国防省とNASAから安定的な利益を得ています。統合防衛・ミサイルシステムズ部門軍用ミサイル航空機エンジン事業などを通して航空システムとミサイルで米国軍事を支えています。

ミサイルやレーダーの技術に強みがあり、米軍が対シリアで使用したトマホークミサイルやパトリオットミサイルを製造している世界トップのミサイル企業です。日本のミサイル防衛システムにも同社のミサイルが使われています。また民間の商業機も請け負っており、自己資本も高く財務面でも安心感があります。

クラトス・ディフェンス&セキュリティー・ソリューションズ【KTOS】

クラトス・ディフェンス&セキュリティー・ソリューションズは、NASDAQに上場している防衛関連システム事業を展開している企業です。防衛システム関連として、無人航空システムや連邦政府、州政府、地方自治体などに戦闘システム・偵察システム等の軍事製品およびソリューションを販売しています。

本社はカリフォルニア州サンディエゴにあり、1994年創業の防衛関連IT企業です。アメリカは防衛のIT化を推進しており、同社の需要が増え、成長が期待できるのではないでしょうか。

日本の防衛関連銘柄

日本の防衛関連銘柄としては三菱重工業(7011)や川崎重工業(7012)、細谷火工(4274)、重松製作所(7980)、日本アビオニクス(6946)、旭精機工業(6111)、石川製作所(6208)、東京計器(7721)などが挙げられます。ここで紹介したのは一部の銘柄ですの、気になる方は調べてみてくださいね。

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